0.はじめに
みなさんこんにちは。ベイダーたかはしと申します。
10月24日にプロ野球ドラフト会議が行われ、めでたく123名のホープたちがプロ野球選手としてのスタート地点に立つ権利を得ることができました。見ている方々にとってもまさに手に汗握る数時間であり、毎年この時にしか感じられない、ドキドキとワクワクと切なさが入り混じった心情というものが、このドラフト会議にはあると思っています。
ドラフト会議を終え、この選手が思ったより早く指名された/されなかった、などなど、プロ野球の一ファンである筆者としても語りたくなることがたくさんございます。そこで、本記事では、事前に12球団分記載させていただいたドラフト考察の振り返りも兼ねて、今ドラフトで各球団がチーム編成上の補強ポイントをどのように強化してきたのか、という点にフォーカスしながら、各球団の指名に対する所感を記載させていただきたいと思います。
(10/28追記)今更ながら、各球団の指名に対して点数をつけてみました。補強ポイントを強化できているかを重点に置きながらも、最終的には感覚頼りてつけさせていただいています。
- 0.はじめに
- 1.指名結果
- 2.埼玉西武ライオンズ:88点
- 3.中日ドラゴンズ:97点
- 4.オリックスバファローズ:80点
- 5.東京ヤクルトスワローズ:87点
- 6.東北楽天ゴールデンイーグルス:85点
- 7.広島東洋カープ:78点
- 8.千葉ロッテマリーンズ:84点
- 9.横浜DeNAベイスターズ:80点
- 10.北海道日本ハムファイターズ:88点
- 11.阪神タイガース:75点
- 12.福岡ソフトバンクホークス:90点
- 13.読売ジャイアンツ:83点
1.指名結果
ご存じの方も多数おられると思いますが、各選手の背景色はポジションを表しており、「赤背景=投手」、「青背景=捕手」、「黄背景=内野手」、「緑背景=外野手」となっています。
【支配下指名選手一覧】
【育成指名選手一覧】
次の項からは、各球団の指名について、事前に筆者が考察していた各補強ポイントに合った指名を行っていたか、の観点を重視しながら簡単に振り返っていきたいと思います。
2.埼玉西武ライオンズ:88点
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【指名選手】
- 1位:齋藤大翔選手(金沢高)
- 2位:渡部聖弥選手(大阪商業大)
- 3位:狩生聖真投手(佐伯鶴城高)
- 4位:林冠臣選手(日本経済大)
- 5位:篠原響投手(福井工大高)
- 6位:龍山暖選手(エナジックスポーツ高)
- 7位:古賀輝希選手(千曲川硬式野球クラブ)
- 育成1位:冨士大和投手(大宮東高)
- 育成2位:佐藤太陽選手(神奈川大)
- 育成3位:ラマルギービンラタナヤケ選手(大阪桐蔭高)
- 育成4位:佐藤爽投手(星槎道都大)
- 育成5位:澤田遥斗選手(京都国際高)
- 育成6位:福尾遥真選手(学法石川高)
- 育成7位:ウメビンユオオケム明選手(旭川志峰高)
【所感】
得点力不足に苦しむ近年のチーム事情に対し、大きくメスを入れる意図を感じる指名内容となりました。特に、長打力と身体能力に優れる渡部選手と林選手の存在は、今シーズン大きな課題となった外野手の攻撃力問題を一気に改善させるのにうってつけであり、ライオンズファンに大きな希望を抱かせているのではないでしょうか。
また、1位指名の斎藤選手はやや非力ながらも抜群の身体能力と守備精度を誇っており、プロでもう少し体を鍛えれば「トノゲン」の後釜の最有力候補となれる逸材です。
その他の野手では、質と量の両面でやや不足していた捕手陣に強肩堅守が持ち味の龍山選手、セカンドなどの打力不足を強化する目的でパンチ力の光る古賀選手を指名しており、バランスよく野手を底上げする狙いが見えてきます。
育成野手では、特にラマル選手とウメビンユオ選手という、まさに日本人離れしたポテンシャルの大砲候補を指名しており、ガルシア選手などと合わせて自前の長距離ヒッターを育て上げるうえで面白い存在だと思います。
一点疑問点を挙げるとすれば、早めに一軍で使える可能性の高い投手をあまり獲得しなかったことです。支配下指名の狩生投手や篠原投手はその球筋のよさやフォームのバランスを評価される好素材右腕であり、育成の冨士投手や佐藤投手はストレートにも変化球にもキレのある上質なサウスポーですが、いずれの投手も来年すぐに一軍で戦力となれるかと言えば疑問符がつきます。今シーズン定まり切らなかった中継ぎ陣を今後どう強化するかは、ライオンズ編成部門に課された宿題であると言えるでしょう。
とはいえ、近年の野手軽視気味のドラフトから一気に方針転換できており、二度クジを外したとは思えないほどの満足度の高いドラフトになったのではないでしょうか。
3.中日ドラゴンズ:97点
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【指名選手】
- 育成1位:中村奈一輝選手(宮崎商業高)
- 育成2位:井上剣也投手(鹿児島実業高)
【所感】
1位で金丸投手のクジを見事引き当てただけでなく、2位で吉田投手を獲得し、今ドラフトのNo.1左腕とNo.2左腕とも目される存在をかっさらっていっていきました。この2名だけで大成功ドラフトと言って差し支えなく、小笠原投手のメジャー挑戦を補って余りあるレベルでの投手力強化に成功しました。
3位の森選手は高い打力と身体能力を持ち味とする選手であり、ショート以外にも様々なポジションで可能性を感じさせる選手です。野手のプロスペクトが不足しているドラゴンズにはぴったりの人材でしょう。また、4位ではアマチュア球界ではトップクラスの完成度の守備力を持つ石伊選手を獲得しており、ベテラン頼みかつ正捕手が定まらないチーム状況を改善させられるはずです。
そして、支配下下位から育成指名では高校生の逸材獲得に成功しました。特に高橋投手は出力とバランスの良さを高次元で備えることから、昨年の福田投手同様、1年目から二軍で好成績を残しながら成長する予感がします。その他高身長の急成長株有馬投手、身体能力抜群のショート中村選手、球の強さは世代屈指の井上投手という逸材を獲得しており、その強みをプロでさらに伸ばせれば一軍レベルでの台頭もすぐそこに迫るでしょう。
このドラフトにあえてケチをつけるとすれば、即戦力候補の外野手を指名しなかった点です。細川選手と岡林選手に続く存在がやや不安定で、現状一軍レギュラーには物足りない中堅層が多くいる外野陣ではありますが、そこは鵜飼選手やブライト選手などの現戦力の伸びしろに掛けるというチーム判断に至ったのだと推測します。
いずれにせよ、12球団でも最も思い通りに指名を進められた感があり、今後の選手の成長がどうなるかわからないとはいえ、現状は12球団No.1ドラフトといえるのではないでしょうか。
4.オリックスバファローズ:80点
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【指名選手】
- 1位:麦谷祐介選手(富士大)
- 2位:寺西成騎投手(日本体育大)
- 3位:山口廉王投手(仙台育英高)
- 4位:山中稜真選手(三菱重工West)
- 5位:東山玲士投手(ENEOS)
- 6位:片山楽生投手(NTT東日本)
- 育成1位:今坂幸暉選手(大阪学院高)
- 育成2位:清水武蔵選手(栃木ゴールデンブレーブス)
- 育成3位:上原堆我投手(花咲徳栄高)
- 育成4位:寺本聖一選手(広島経済大)
- 育成5位:田島光佑選手(信濃グランセローズ)
- 育成6位:乾健斗投手(霞ヶ浦高)
【所感】
今シーズン攻撃力不足に苦しんだチーム事情に向き合うべく、1位で西川選手を外したのち麦谷選手の指名に至りました。中軸を担えそうな打力と一定の守備力を兼ね備えたスター候補を、レギュラー格不足の外野陣に加えられたのはチームにとって大きなプラスです。
また、捕手の枚数不足とコーナーポジションの攻撃力を補う目的で、4位で山中選手を指名しました。指名時は少々意外なチョイスと驚きましたが、考えてみればそういったチーム事情にフィットする選手であると思います。
また、育成野手のなかでは、特に今坂選手や寺本選手という、身体能力とフルスイングが持ち味の好素材を指名しており、プロレベルの球に適応するアプローチ力をぜひ身につけて、早々に支配下昇格を果たしてもらいたいものです。
一方で、正直今年のバファローズは野手重視のドラフトを敢行すると個人的に予想していたのですが、蓋を開けてみると支配下で投手4名を獲得する結果となりました。このうち寺西投手、東山投手、片山投手の大社組の3名はストレートと変化球のコンビネーションの完成度が高く、早々に一軍で起用できる可能性が高いです。下位でも即戦力に近い投手を指名できるのはさすがバファローズといったところです。
また、3位の山口投手は、未完の大器という言葉がまさにぴったり当てはまる存在であり、山下舜平大投手のような成長曲線を歩めるだけのポテンシャルを備えています。
以上、下位で社会人の即戦力候補投手を指名し、育成ではカテゴリ関係なく躍動感が光る選手を指名するという、バファローズのお家芸的な指名が随所に現れつつも、バランスの良い指名と言えるのではないでしょうか。
5.東京ヤクルトスワローズ:87点
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【指名選手】
- 1位:中村優斗投手(愛知工業大)
- 2位:モイセエフニキータ選手(豊川高)
- 3位:荘司宏太投手(セガサミー)
- 4位:田中陽翔選手(健大高崎高)
- 5位:矢野泰二郎選手(愛媛マンダリンパイレーツ)
- 育成1位:根岸辰昇選手(ノースカロライナA&T州立大)
- 育成2位:廣澤優投手(愛媛マンダリンパイレーツ)
- 育成3位:下川隼佑投手(オイシックス新潟)
- 育成4位:松本龍之介選手(堺シュライクス)
【所感】
単独で世代随一の剛腕である中村投手の単独指名に成功し、まさにしてやったりといったところでしょう。変化球のキレも随一であり、狭めの神宮球場において必須の奪三振能力を高い次元で有する逸材です。また、3位ではこれまた奪三振能力の高い荘司投手の獲得に成功しており、シーズン終盤に形の見えてきた中継ぎ陣のグレードアップに一役買える好投手です。
一方、枚数不足の外野手強化には世代屈指の打力を誇るモイセエフ選手、村上選手に続く和製大砲候補が不足している内野手には根岸選手とを獲得しました。おそらく村上選手のメジャー挑戦も考慮した動きであり、次代の中軸候補指名もチームの狙い通りうまくいっているはずです。
その他野手では、デプス不足のショートには甲子園で活躍の田中選手、西田選手が退団予定の捕手には矢野選手と、替えの利かないポジションについてもソリッドな好選手を指名することができています。
一点不安な所を挙げるとすれば、先発候補の投手指名が控えめであったことです。中村投手はともかく、荘司投手は中継ぎで結果を出してきた投手であり、西濱投手の新加入を考慮しても、弱点の先発投手強化にはまだ不足していると見ています。もっとも、そこは例年行っている他球団リリース組をうまく活用する可能性もあり、今後の編成部門の動きには要注目です。
とはいえ中村投手を一本釣りできたことは、今ドラフトの中でも会心の指名の一つであり、投手野手ともに、長打の出やすい神宮球場において持ち味を発揮しやすい選手にうまく狙いを定められたドラフトであったと言えるでしょう。
6.東北楽天ゴールデンイーグルス:85点
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【指名選手】
- 1位:宗山塁選手(明治大)
- 2位:徳山一翔投手(環太平洋大)
- 3位:中込陽翔投手(徳島インディゴソックス)
- 4位:江原雅裕投手(日鉄ステンレス)
- 5位:吉納翼投手(早稲田大)
- 6位:陽柏翔選手(茨城アストロプラネッツ)
- 育成1位:岸本佑也選手(奈良大付高)
【所感】
今ドラフトの目玉野手であった宗山選手の獲得が何よりも朗報です。高い身体能力に加え攻守の技術面でも高い完成度を誇るこのゴールデンルーキーは、既に村林選手や小深田選手と比較しても遜色ない実力を有しており、1年後にどのような成績を残しているか非常に楽しみな存在です。また、5位では六大学屈指の強打者吉納選手を獲得できたことも大きいでしょう。両翼向きながら一定の身体能力を有しており、近いうちに小郷選手のような活躍を期待できる逸材です。
一軍に近しい20代前半が少ない現状のイーグルス野手陣において、宗山選手と吉納選手は早くから実戦機会を多く得ると予想され、将来的にこの2名で1番と3番を打っていても全く不思議ではありません。
その他の野手でいうと、陽選手は脚力、岸本選手は肩力に大きな長所があり、両名ともまだ粗削りさはあるものの、その身体能力をプロでどう伸ばすかが楽しみな選手たちです。
一方、投手指名に目を向けると、球威抜群のサウスポー徳山投手、先発中継ぎのどちらでも高い実績を持つ右のサイドハンド中込投手、攻めっ気の強い右の剛腕江原投手と、タイプの異なる即戦力候補3名を獲得することができました。今シーズンは投手陣の層の薄さに苦しんだイーグルスにとって、この即戦力投手指名は必要不可欠であり、この3名も来シーズンから早々に一軍で出番を得られるのではないでしょうか。
このように投打の戦力底上げに成功したイーグルスですが、捕手指名に動かなかったことは予想外でした。現状正捕手と言い切れる存在が不在で、かつ支配下人数も5名と少ない状況ですので、捕手陣の強化はいの一番に行うべきポジションだと思っていました。もしかしたらFA宣言を検討している他球団捕手に狙いを定めているかもしれませんが、それでも、質と量のどちらの観点から考えても、1名くらいは今ドラフトで捕手候補を指名すべきだったのではないでしょうか。
と、イーグルスの指名における疑問点について触れましたが、いずれにせよ全体的に薄めの選手層を強化する意図の感じられる即戦力重視の指名であり、指名された選手たちも早くから一軍に出られそうであることから、今ドラフトがチーム若返りの大きな要因となる可能性は高いでしょう。
7.広島東洋カープ:78点
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【指名選手】
【所感】
1位指名の佐々木選手は、元ホークス松田選手にもたとえられる、豪快な打撃と高い身体能力を併せ持った即戦力候補のサードです。少なくとも現在のカープ野手陣では非常に貴重な存在であり、かつてのカープらしい走攻守ハイレベルな名プレイヤーに育つ可能性が高いでしょう。
また、4位では東北の雄富士大学の主砲、渡邉選手を指名しました。小園選手の再コンバートが前提になるかもしれませんが、佐々木選手と渡邉選手の存在は、今シーズン課題として露呈したコーナーポジションの攻撃力不足を一気に解決させてくれるかもしれません。
また、2位で佐藤投手を獲得できたことも非常に大きいです。ストレートも変化球も一級品のキレを持っており、昨年ドラフト組の常廣投手らと共に次代のカープ先発陣を担う活躍ぶりが期待できます。
その他3位で岡本投手、5位で菊池投手、育成1位で小船投手と、これまたカープらしい大型素材右腕を数多く指名しました。3名ともプロ仕様に育つまで少し時間がかかるかもしれませんが、カープであればこういったダイヤの原石の育成はお手のもののはずです。
一方で、今ドラフトで外野の即戦力候補を加えなかったことは、個人的に疑問の残る点です。現状鈴木誠也選手や西川龍馬選手の穴を埋め切れていない印象で、ベテランの秋山選手や野間選手に依存度が高い状況です。そんな現状に手を入れるために、オフに何らかの選手補強があるのか、それとも既存戦力の外野コンバートがあるのか、非常に気になるところです。
とはいえ総括すると、コーナーポジションという弱点強化と大型素材投手の確保という育成得意ジャンルの追求の両方を行えており、意図のわかりやすい納得感のあるドラフトであるように感じました。
8.千葉ロッテマリーンズ:84点
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【指名選手】
- 1位:西川史礁選手(青山学院大)
- 2位:宮崎竜成選手(ヤマハ)
- 3位:一條力真投手(東洋大)
- 4位:坂井遼投手(関東第一高)
- 5位:廣池康志郎投手(東海大九州キャンパス)
- 6位:立松由宇選手(日本生命)
【所感】
1位でアマチュアNo.1スラッガーの西川選手を指名し、ベテランと助っ人頼みに終始してしまった長打力供給を改善させる狙いが感じられます。上田選手や安田選手、山口選手らと競争の上、近未来の中軸をがっちり固めてもらいたいものです。
また、2位では強打の内野手宮崎選手を指名し、今シーズンはソト選手以外決め手に欠けた内野手ポジション争いに大きな一石を投じる存在です。また、6位の立松選手は捕手経験も豊富な強打の内野手であり、その使い勝手の良さからチームの選手層に厚みをもたらしてくれるでしょう。立松選手が入団するかは若干微妙な状況であるものの、即戦力に近い野手を3名も確保できたことは早々にチームへ大きなプラスをもたらすのではないでしょうか。
一方、投手指名では、3位の一條投手、5位の廣池投手、育成3位の長島投手と、しなやかなフォームから綺麗な速球を投げ込む大学生右腕の獲得が目立ちました。彼らについてはプロで少し力強さを増すことができれば、すぐにベテラン頼りの投手陣にて頭角を現してくれるでしょう。
また、高校生投手では、坂井投手と茨木投手という、一定の出力と変化球のコンビネーションを両立した好投手2名を指名しました。昨年ドラフトの木村投手や早坂投手らと共に切磋琢磨し、完成度の高い投手へとぜひ成長してもらいたいものです。
ただし、やや疑問に残ったのが、頭数がかなり不足している左腕投手を1名も指名しなかったことです。左右のバランスを気にするかは人それぞれかと思いますが、マリーンズの編成を見ると1枚は左腕を狙ってほしかったという感想を抱いてしまいました。
とはいえ、投手指名にて将来性への投資も行いながら、2年連続Aクラスのチームをさらに躍進させるという意気込みが伝わってくる、野手中心に確実な戦力アップを見込める堅実な指名と言えるのではないでしょうか。
9.横浜DeNAベイスターズ:80点
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【指名選手】
- 1位:竹田祐投手(三菱重工West)
- 2位:篠木健太郎投手(法政大)
- 3位:加藤響選手(徳島インディゴソックス)
- 4位:若松尚輝投手(高知ファイティングドッグス)
- 5位:田内陽翔選手(おかやま山陽高)
- 6位:坂口翔颯投手(國學院大)
【所感】
1位で金丸投手の抽選に外れた後、大卒3年目社会人右腕の竹田投手を指名しました。一部ではこのチョイスに驚きの声もあったものの、その即戦力性は金丸投手に次ぐレベルと言ってよく、投手に苦しんだチーム事情を考えると、個人的にそこまで驚きはありませんでした。
以降、2位で篠木投手、4位で若松投手、6位で坂口投手と、とにかく即戦力右腕にこだわった指名を続けました。この4名の共通点としては、水準以上の出力と多彩な変化球をきちんとゾーンに投げ込める精度の高さを両立している点にあり、プロの舞台でも早々に戦力として台頭する可能性が高い投手が揃いました。
そして育成指名では、高校生としては高い完成度と大きな伸びしろを兼ね備えた、吉岡投手と金渕投手という2名の好素材を指名しました。近年では深沢投手や森下投手といったバランス型高校生が二軍で順調な成長を見せており、そこに続くことができれば面白い存在です。
一方、野手指名では、やや層の薄さが懸念される内野手陣に、独立リーグで鋭い当たりを連発する加藤選手と、エネルギッシュなプレーが持ち味の田内選手の2名を指名しました。この2名は走攻守の貢献度に加え気持ちの強さにも定評があり、厳しいプロの世界でも負けん気の強さを発揮して成長してもらいたいものです。
このベイスターズのドラフトにケチをつけるとすれば、先のロッテと同様、左腕不足のチーム状況においてその指名が少なかったことでしょう。特に今シーズンは坂本投手頼みであった左腕中継ぎ陣から石川投手が抜けますので、そこの弱点をどのように埋めてくるのかは今オフの注目ポイントです。
とはいえ、投手力不足という現状の課題にしっかりと向き合い、そのポイントを強みに転じる可能性まで感じさせる今回の指名は、一ファンとしてなかなか満足度の高い結果に終わったと感じています。
10.北海道日本ハムファイターズ:88点
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【指名選手】
- 育成1位:川勝空人投手(生光学園高)
- 育成2位:澁谷純希投手(帯広農高)
【所感】
1位指名では宗山選手のクジを外してしまったものの、二刀流の可能性すら期待される特大ポテンシャルの柴田投手を指名し、いかにもファイターズらしい人選だと感じました。柴田投手をソフトバンクと競合することになる展開は、多くのファンの予想通りだったのではないでしょうか。
しかし、この後のファイターズは多くのファンの予想をはるかに上回る指名を敢行しました。右では浅利投手/清水投手/山城投手/川勝投手、左では藤田投手/澁谷投手と、サイズ感と球の強さと特大のポテンシャルを感じさせる逸材を次々に指名していったのです。その指名はチームとして原石を磨き上げる自信の表れとも思えました。急成長中の柳川投手や福島投手のドラフト指名時と比較しても、今回の指名選手たちははるかに上回る出力を有しており、5年後には彼らの全員が一軍主力級に育っていても不思議ではありません。
一方、野手指名では先述の通り宗山選手のクジを外してしまったものの、5位で山縣選手の獲得に成功しました。そのフットワークの軽さを活かしたショート守備は評価が高く、打撃面はもう少し力強さが欲しいものの、早々に上川畑選手や奈良間選手あたりと激しいポジション争いを展開できるでしょう。
やや疑問として残るのが、今シーズン攻撃面で課題のあったセンターのポジションに対し、新たな選手を指名しなかった点です。松本選手を軸に淺間選手や宮崎選手あたりと競争させるのか、新戦力を獲得するのか、あるいは万波選手あたりをコンバートさせるのかは来シーズンに向けて解決すべきでしょう。
指名セクションに偏りがみられることから若干評価の分かれる内容かもしれませんが、12球団の中でも圧倒的にワクワク感の高い指名に成功していることは間違いなく、5年後どうなっているかが最も楽しみな球団です。
11.阪神タイガース:75点
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【指名選手】
- 1位:伊原陵人投手(NTT西日本)
- 2位:今朝丸裕喜投手(報徳学園高)
- 3位:木下里都投手(KMGホールディングス)
- 4位:町田隼乙選手(埼玉武蔵ヒートベアーズ)
- 5位:佐野大陽選手(富山GRNサンダーバーズ)
- 育成1位:工藤泰成投手(徳島インディゴソックス)
- 育成2位:嶋村麟士朗選手(高知ファイティングドッグス)
- 育成3位:早川太貴投手(くふうハヤテベンチャーズ)
- 育成4位:川崎俊哲選手(石川ミリオンスターズ)
【所感】
個人的には上位である程度野手を指名すると思っていたので、正直今回の指名は意表を突かれました。とはいえ、1位の伊原投手はズバッと決まる速球と低めに制球された変化球を高次元で備えており、伊藤将司投手あたりと比較しても現時点の実力は遜色ないと見ています。即戦力の名にふさわしい活躍を1年目からする可能性は非常に高いです。
そして、2位で高校生No.1右腕の呼び声高い今朝丸投手を指名できたことは、タイガースにとって非常にラッキーでした。地元出身かつ甲子園のスターである今朝丸投手は、速球のキレも変化球のキレも高いうえにさらなる伸びしろを兼ね備えるスケールも感じさせることから、近年高卒投手の育成成功例が多いタイガースにピッタリの人材と言えるでしょう。
その他の投手指名では、3位の木下投手、育成1位の工藤投手、育成3位の早川投手という、剛速球とタフさを兼ね備えたパワー系右腕の獲得に成功しました。この3名は中継ぎだけでなく先発の経験も豊富で、複数イニングを投げてもあまり出力が落ちない点に魅力を感じます。
一方で野手指名では、4位で独立ではNo.1評価ともいわれる町田選手、5位ではバランスのよい右打ちショートの佐野選手を獲得しました。特に町田選手はまだ高卒3年目と若さも備えており、中川選手や藤田選手らとともに正捕手争いに割って入りながらスケールアップしていけそうな好選手です。
ただ、この町田選手や佐野選手の力量自体を否定するつもりは全くありませんが、今シーズン露呈したセンターラインの攻撃力不足という課題に対し、上位指名のリソースを割かなかったことは少々疑問に残ります。キャッチャーでは先に名前を挙げた中川選手、二遊間では小幡選手や高寺選手などの現有成長株のさらなる成長に賭けるという判断に至ったのかもしれません。
総合的にはやや独自色が強いながらも、藤川新監督のもとで、守備重視という戦い方の方針が見える形の内容となりました。もともと強みであった投手力をさらに強化するうえでは、なかなか良い指名であったと言えるのではないでしょうか。
12.福岡ソフトバンクホークス:90点
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【指名選手】
- 育成1位:古川遼投手(日本学園高)
- 育成2位:曾布川ザイレン選手(浜松商業高)
- 育成3位:大友宗選手(茨城アストロプラネッツ)
- 育成4位:広瀬結煌選手(市立松戸高)
- 育成5位:河野伸一朗投手(宮崎学園高)
- 育成6位:川口冬弥投手(徳島インディゴソックス)
- 育成7位:津嘉山憲志郎投手(神戸国際大付高)
- 育成8位:相原雄太投手(仙台大)
- 育成9位:岡田皓一朗投手(大阪商業大)
- 育成10位:漁府輝羽選手(東北福祉大)
- 育成11位:木下勇人選手(千葉経大付高)
- 育成12位:熊谷太雅投手(東陵高)
- 育成13位:塩士暖投手(門前高)
【所感】
支配下の好素材たちに加え、育成指名でも大量に選手を指名したことで、チームとしての競争激化を促す意図をひしひしと感じました。今ドラフトの指名選手だけできちんと1チーム組めるのはホークスだけです。
1位指名では宗山選手と柴田投手のクジを外してしまいましたが、3回目の入札で村上投手を獲得しました。高校生ながら速球も変化球も一級品の質を誇っており、もう少しスタミナが付けば、前田悠伍投手らとともに早々に先発ローテに割って入ってきても全くおかしくありません。
また、3位ではしなやかな速球が武器の安徳投手、6位では多彩な球種による組み立てが武器の岩崎投手を獲得し、先発でも中継ぎでも使える即戦力候補投手の強化に成功しました。今年の岩井投手や大山投手らと同様、早くから一軍で台頭するだけの力を有しており、ホークスとしてもその再現を狙っていると思われます。
野手指名では、2位で庄子選手を獲得し、課題となっている今宮選手の後釜候補確保に成功しました。庄子選手はその俊足を最大の武器とするほか、安定したヒットツールと堅実な守備を持ち合わせており、今宮選手やダウンズ選手、川瀬選手とは異なる選手タイプとしてショート争いを激化させてくれるでしょう。
そして、4位では宇野選手、5位では石見選手と、今年の高校生でも屈指の打撃評価を誇る逸材の獲得に成功しました。この2名は所属校ではショートを守るなど守備面でも一定の力量を持っており、将来的にはどのポジションにでも定着できそうな夢の広がる選手たちです。
育成選手は選手タイプ関係なく、その順位で狙える好素材を順に指名して言った印象です。個人的には下級生時代世代No.1投手であった津嘉山投手の復活に大いに期待しており、昨年受けたトミージョン手術の回復が上手くいけば、持ち前の強気の投球でプロの打者相手にも押し込んでくれることを期待します。
正直、今回の指名にケチをつけようにも宗山選手の抽選に敗れたことくらいしか思いつきません。2回クジを外したとはいえ、補強ポイントと抑えつつ順位に見合った実力の高い選手を終始指名できており、この面々で「失敗」に終わる可能性は非常に低い、そんな堅実な指名内容であったと思っています。12球団最強のホークスがその座をさらに盤石にするうえで、良好な内容となったのではないでしょうか。
13.読売ジャイアンツ:83点
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【指名選手】
- 育成1位:坂本達也選手(富士大)
- 育成2位:堀江正太郎投手(文星芸大付高)
- 育成3位:鈴木圭晋投手(横浜創学館高)
- 育成4位:吹田志道投手(弘前学院聖愛高)
- 育成5位:西川歩投手(山村学園高)
- 育成6位:竹下徠空選手(明徳義塾高)
【所感】
1位では金丸投手の抽選に敗れたのち、石塚選手の指名に成功したジャイアンツ。高い身体能力に加え打撃アプローチに秀でた逸材ショートであり、最終的には内野のどのポジションでもハマってくれそうな高い将来性を感じます。
その後、2位で浦田選手、3位で荒巻選手と内野手を重ねてきたのは少々意外でした。とはいえ浦田選手は俊足強肩堅守を活かして二遊間として勝負できる即戦力候補であり、門脇選手や泉口選手あたりと十分に競争できる能力をすでに有しています。荒巻選手は一三塁を中心に守るスラッガータイプであり、坂本選手や岡本選手の後釜を秋広選手やティマ選手と争うことになるでしょう。編成面ではややだぶつき気味にも見えるものの、この上位3名の獲得で、もともと弱点とまでは言えないジャイアンツ内野陣は更にソリッドなものとなりました。
投手指名に目を向けると、5位で宮原投手を獲得できたことは、金丸投手を外してしまったジャイアンツにとって非常にラッキーだったと思います。最速153km/hの速球に加え変化球もよく、奪三振力の高い左腕をこの順位で指名できたことで一気にドラフトの内容が引き締まりました。
また、支配下4位の石田投手をはじめ、堀江投手、鈴木投手、吹田投手、西川投手といった高校生の好投手をしっかり指名していったのもさすがの動きでした。この5名はいずれもフォームにクセが少なくきれいな印象で、プロで出力を増大させることに注力できれば、自然と一軍戦力に食い込んでくる逸材だと思っています。
強いて今ドラフトにケチをつけるのであれば、いまだ定まらない外野のレギュラー候補生を今ドラフトで獲得しなかったことです。最近獲得したフルプ選手の存在を考慮しても、やや物足りない感は否めず、今オフにどのような形で外野補強を行うかは見ものです。
とはいえ、今ドラフトで豊作とされたショート候補と高校生投手に重点を置いた、市場のトレンドをよく踏まえた指名であり、来年というより数年後の常勝軍団を維持強化していく狙いが見えた良い指名であったと思います。
以上、12球団の指名についてざーっと振り返っていきました。
気づいたらかなりの長文になり、大変恐縮です・・・。
それでは、このような記事を最後までお読みくださり、誠にありがとうございました。