ベイダーたかはしの野球雑記

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【プロ野球】今オフの捕手リリースは案外難しいという話

0.まえがき

みなさんこんにちは。ベイダーたかはしと申します。

都市対抗野球の個人的優勝予想は日本通運でしたが、見事に大外ししてしまいました・・・。

 

さて、今回の記事では、プロ野球における「捕手」というポジションについて特集していきます。近年のドラフトや戦力入れ替えの傾向を確認しながら、今オフに12球団が捕手編成についてどのように動くかを考えていくという趣旨の記事です。

 

捕手という守備位置について、ド素人の筆者が語るまでもなくご存じの通り、他のポジションとは比にならないほど特殊かつ難易度の高いポジションだと言えます。プロで元々捕手を務めていた選手が他ポジションにコンバートされるケースは度々ありますが、逆に他ポジションの選手が捕手にコンバートされるケースはほとんどありません。したがって、ドラフト等の戦力整備イベントを用いて優秀な捕手を確保しておくことは、各球団のフロントにとって非常に重要な仕事となってきます

 

2025年ドラフトも残り1か月に迫っておりますので、ここで捕手陣容編成に関する近年の傾向を整理することで、少しでも贔屓球団の今オフ動向を予測する助けになれば幸いです。

 

 

 

 

1.各球団の捕手人数

まずは現状各球団が捕手を何名保有しているかについて見ていきます。なお、本記事では、これ以降あくまで選手登録の区分上「捕手」として登録されている人数をカウントしていきます。(以下、2025/9/25時点の人数を記載)

 

 

【捕手登録人数】

 

上記の通り、全ての球団が育成枠の選手含め最低でも7名は捕手人数を確保しており、10名以上保有しているチームもちらほらといる状況にあります。

例外はありますが、現状のプロ野球では一軍に3名程度捕手を登録しておく体制が最も一般的です。また、二軍も同様に3名くらいの捕手で運用することが望ましく、各選手の怪我のリスクへ備える必要性もあることを踏まえると、最低でも7~8名程度の捕手を保有しておくことが望ましいのはご理解いただけるかと思います。加えて、三軍制、あるいは四軍制を敷くチームについてはさらに頭数を確保しなければならない、ということになります。

 

 

2.近年のNPBにおける捕手登録人数の推移

次に、現状の2025年シーズンにおける捕手登録人数が、過去と比較して多いかどうかについて見ていきます。

ということで、以下に2009年以降におけるNPB全体の捕手登録人数(ペナントレース終了時)の一覧表を添付します。

 

 

上記の表からわかる通り、12球団トータルの捕手人数は年々増加傾向にあり、2025年シーズンは支配下枠と育成枠合わせて104名もの捕手登録選手がNPBにいる状況です。

ただ、この増加傾向は球界における育成選手の保有人数増加の影響が大きいことに留意する必要があります。ここ数年でもはや三軍制を敷く球団はそこまで珍しくなくなってきたうえ、今年から数年の間で阪神のファーム施設移転を皮切りに、日本ハム、ヤクルト、ロッテなどの球団がファーム施設の刷新を図ろうとしています。したがって、今後も捕手を含めて球界全体で育成選手の増加傾向は続くでしょう。

一方で、支配下枠内の捕手人数については近年ずっと82名前後(1球団あたり約7名)で推移し続けており、決してその人数が増えているわけではありません。支配下枠の最大人数が70名で変わっていないことから、支配下捕手の人数も大きく変動しないのはある意味当然ともいえるでしょう。

 

 

3.近年の捕手ドラフト指名人数

この項では、近年のドラフトにおける「捕手として指名された選手の人数」について見ていきます。以下、2009年以降のドラフトにおける捕手指名人数の一覧表を添付します。

 

 ※「助」は、捕手登録区分でやってきた外国人枠の選手を指す

 

近年のドラフト情報を追っている方であればご存じかと思いますが、ここ数年は支配下枠での捕手指名人数が減少気味です。

今回集計させていただいた2009年ドラフト以降、2021年までは支配下の捕手指名人数が6名を切ったことがありませんでしたが、2022年から3年連続で支配下の捕手指名人数が5名にとどまっています。また、その分育成枠の捕手指名人数が増加しているかと言えば、そこまででもありません。

 

 

4.近年におけるNPBから去った捕手の人数

先の項ではNPBにドラフト等で新規に入ってくる捕手の人数を見ていきましたが、この項では逆にNPBを去った(引退した/NPB外のチームに入った)捕手の人数を見ていきます。以下、2009年以降にNPBを去った捕手登録選手の人数一覧表を添付します

なお、あくまで「NPBを去った」選手の人数をカウントしていますので、「元所属球団からリリースされたが他球団に拾われた」選手についてはカウントしてません。

 

 

 ※現捕手登録NPBを去る際に捕手として登録されていた選手

 ※元捕手登録NPB在籍時に捕手として登録された経験を持つが、NPBを去る際は他のポジションで登録されていた選手

 

2009年からだらだらと集計した表を載せてしまっていますが、注目すべきは2023年オフと2024年オフと、過去2年続けてNPBを去った支配下枠捕手の人数が少ない点です。過去の傾向では毎年7名の支配下枠捕手が退団していたわけですが、ここ2年はその人数が3,4名にとどまっています。

近年の捕手リリース人数が少ない理由については以下のように考えられます。項2で見たようにどのチームも7名前後の支配下枠捕手を常に必要としているわけですが、項3で見た通り、2022年以降ドラフトでの支配下枠捕手指名人数は控えめになってしまっています。その結果、頭数を確保するために既存の捕手をキープする判断に至る球団が多くなっているのでしょう。

 

 

5.各球団の一軍出場機会が少ない捕手

さて、ここからが本題です。前項までで、近年のNPBは「新しく入ってくる捕手が少ない代わりに、既存の在籍捕手が去りにくい」という傾向にあることが分かりました。一見この傾向は捕手の頭数を保つうえで釣り合いがとれているようにも見えますが、そこには一つ落とし穴があります。それは「時間の経過」という問題です。

捕手の入れ替わりが少なくなって2,3年程度経つわけですが、当然その間NPBに在籍し続けている選手も年を重ねていっています。その中には中堅ベテラン格としてサブ的な役割を担うにとどまる選手もいますし、二軍で経験を積みながらも伸び悩む選手も少なくありません。そうした選手はどうしてもオフのリリース候補としてファンからも名前が挙がりやすくなってくるでしょう。

 

実際に今オフのリリース対象となるかはさておき、事実として「98年度以前の世代で2年連続一軍出場20試合未満の支配下捕手」と「02年度以前の世代で今シーズン二軍OPSが.600未満の支配下捕手」のリストを下記の通り示します。(2025/9/25時点)

 

 

【98年度以前の世代で2年連続一軍出場20試合未満の支配下捕手】

  • SB:なし
  • ハム:清水優心選手、古川裕大選手、梅林優貴選手
  • オリ:石川亮選手
  • 楽天:田中貴也選手
  • 西武:なし
  • 千葉:柿沼友哉選手、植田将太選手
  • 阪神:長坂拳弥選手、榮枝裕貴選手
  • 横浜:九鬼隆平選手
  • 巨人:喜多隆介選手、郡拓也選手
  • 中日:なし
  • 広島:磯村嘉孝選手
  • ヤク:なし

 

【02年度以前の世代で今シーズン二軍OPSが.600未満の支配下捕手】

  • SB:牧原巧汰選手
  • ハム:なし
  • オリ:なし
  • 楽天:なし
  • 西武:柘植世那選手、牧野翔矢選手
  • 千葉:柿沼友哉選手、植田将太選手
  • 阪神:長坂拳弥選手、藤田健斗選手
  • 横浜:なし
  • 巨人:小林誠司選手、喜多隆介選手、郡拓也選手
  • 中日:なし
  • 広島:持丸泰輝選手
  • ヤク:中川拓真選手

 

繰り返しになりますが、上記のリストはあくまで機械的に抽出したものであり、彼ら全員が今オフに立場が危なくなっているとは思えません。たとえば小林誠司選手は球団一筋の元正捕手としてチームの中でも未だにかなりの存在感がありますし、植田将太選手は先日唐川投手らを好リードして見事お立ち台に立つなど期待度の高い存在です。その一方で、上記のリストには載っていないが今オフのリリース候補としてファンから名前の挙がりやすい捕手もちらほらいます

一旦これ以上は具体的な名前を出すことを控えますが、ここで言いたいのは、ほぼ全球団に対し今オフのリリース候補として捕手の名前が誰かしら挙がりやすい、ということです。上記のリストで該当者がいなかったのは中日のみですが、中日も今オフ立場が危ないと言われがちな捕手がいないわけではありません。そのように考えていくと、今オフはほぼ全球団が誰かしら支配下捕手をリリースする、というようにさえ思えてしまいます。

 

 

6.今オフの捕手リリースについて

しかし、前項の最後に述べたような、「今オフにほぼ全球団が誰かしら支配下捕手をリリースする」という事態が起こる可能性はそこまで高くないと思います。

その理由としては、記事の序盤でも触れましたが、捕手要員を支配下枠に最低でも6名、できれば7名は確保しておくことがチーム編成において望ましいからです。このことを前提とすると、リリースした捕手人数分は新たに獲得することが多くの球団にとって必要となります

しかし、残念ながら今ドラフトは捕手はあまり豊作だとはいえない状況にあります。もちろん有力な候補がいないわけではありません。高い打撃センスを買われる明治大小島大河選手は上位候補の一角といって間違いないほか、高校生捕手でいえばU-18に選出された学法石川大栄利哉選手などの有望株が何名かいます。しかし、小島選手を除く大学生捕手候補は現状大産大小出望那選手くらいしかおらず、社会人や独立Lを見ても昨年中日4位の石伊雄太選手ほどの実力者は現状いないように思います。支配下枠の捕手指名が5名にとどまった23年ドラフト、24年ドラフトと比べても、そこまで捕手市場の充実度に大差はないというのが筆者の肌感です。

したがって、今ドラフトで10名前後の支配下枠捕手が新加入するようなことは考えにくいことから、いくつかの球団は今オフの捕手人員入れ替えをを諦める必要性が出てくるかもしれません

また、場合によっては、他球団で出番の少ない中堅ベテラン捕手の獲得を狙っている球団もあるかもしれません。その場合は伊藤光選手清水優心選手あたりが狙い目になってくるでしょうか。

 

ちなみに、項4でも触れましたが、NPBを去った支配下登録捕手は近年非常に少なく、24年オフは3名、23年オフは4名にとどまっています。それもあり、今オフこそは捕手の人材入れ替えを行いたいと考える球団も多いかもしれませんが、果たしてうまくいくでしょうか。

参考までに、2024年オフまでの時点で、各球団における最後に支配下登録経験者の捕手を「純粋にリリースしたケース(戦力外通告 or 引退)」は下記の通りです。

 

  • 阪神:2024年オフ(片山雄哉選手)
  • ヤク:2024年オフ(西田明央選手)
  • 西武:2024年オフ(岡田雅利選手)
  • 中日:2023年オフ(大野奨太選手)
  • SB:2023年オフ(九鬼隆平選手→横浜へ)
  • オリ:2023年オフ(中川拓真選手→翌年途中からヤクルトへ)
  • 楽天:2023年オフ(炭谷銀仁朗選手→西武へ)
  • 千葉:2023年オフ(江村直也選手)
  • 横浜:2022年オフ(高城俊人選手)
  • 広島:2022年オフ(白濱裕太選手)
  • ハム:2021年オフ(鶴岡慎也選手)
  • 巨人:2019年オフ(阿部慎之助選手)

 

巨人が阿部慎之助選手以来支配下枠経験者の捕手を純粋な意味でリリースしていないことには、さすがに驚きました。(2020年に金銭トレードで炭谷銀仁朗選手を放出したことはありますが、それでも長い・・・)

いずれにせよ、巨人に加え、横浜、広島、日本ハムの4球団はここ数年戦力外通告とドラフトを用いた捕手入れ替えに乏しいことがわかります。こうした球団の編成陣は特に捕手の入れ替えに対するモチベーションが高まっていそうな気もしますが、果たしてうまくいくでしょうか。

 

 

7.2026年オフこそは捕手入れ替えのチャンス?

最後に、気が早すぎますが2026年ドラフトにおける捕手市場について軽ーくみていきます。何といっても今年の大学日本代表にも選出された青山学院大渡部海選手亜細亜前嶋藍選手がドラフトイヤーを迎えるほか、下級生ながら代表候補合宿に呼ばれた捕手も何名かおり、少なくとも大学生捕手というカテゴリーについてはここ数年の中ではドラフト候補が多そうな雰囲気があります。高校生捕手や社会人捕手については現時点で突出した候補はいない認識ですが、それでもこの時点で有力大学生捕手候補が複数名知れ渡っている時点で、それなりの期待感があります。

とはいえ、そうした来年の候補を適正順位で獲得できる保証はどこにもないわけですから、各球団の編成陣は非常に悩ましい選択をしなければなりません。豊作とはいえない捕手市場の中で今オフに入れ替えを行うのか、それとも先の読めない中もう1年我慢して来年の好素材を獲得しに行くのか、どちらが正解かは天のみぞ知ると言ったところでしょう。

 

ただ、繰り返しとなりますが、捕手は頭数確保が必要なポジションであり、限られた市場の中でその入れ替えを敢行することは決して容易ではなということを、一ファンとして押さえておきたいところです。

 

 

ということで、本記事の内容は以上です。

後半の方は筆者の考えベースの文ばかりの内容となってしまいましたが、それでも最後までお読みくださり誠にありがとうございました。

 

次回かはわかりませんが、ドラフト会議も近づいてきましたので、筆者なりの仮想ドラフト記事を書ければと思っています。