0.はじめに
こんにちは。主にベイスターズを応援しているベイダーたかはしと申します。
2024年の都市対抗野球大会決勝から、早いもので3週間ほど経過しました。
世間的にはアマチュア野球といえば「高校野球」で、夏の甲子園大会が今年も人気を博していますが、最近私は社会人野球も負けず劣らず観戦していて楽しいものだと、ようやく気づきました。社会人野球には「競技レベル」と「1試合毎の緊張感」が非常に高い次元で備わっており、野球好きであれば見ごたえ満載です。
本大会では20代後半選手も多く活躍し、同世代の筆者も「もし彼らが贔屓球団に入ったら…」とつい妄想してしまうものです。一方で、こういった20代後半でプロ入りという夢を叶える選手たち、すなわち「オールドルーキー」達が、その後プロで本当に活躍できているか疑問に感じ、本記事を書かせていただきました。
今回は「①球界全体編」ということで、あまり個別の選手にはフォーカスせず、全体的な指名傾向について記載させていただきます。
1.集計ルール
今回の集計ルールは以下の通りとさせていただきます。
- 大卒3年目以上の年齢でNPB球団にドラフト指名され、入団した選手を対象とする。
- 楽天イーグルス参入後の2004年以降にドラフトで指名された選手を対象。
- 育成ドラフトも対象として含める。
- 年齢は、各選手の1年目3月31日時点での数値で集計。
- 移籍経験のある選手は、「ドラフト指名を経て入団した球団」でカウント。
(例.阿部寿樹選手は、楽天ではなく中日の選手としてカウント)
- 「活躍度」については高い順に「☆→◎→○→△→×」の順でランク付け。ランク付けの基準は当該項目で後述。
上記の条件で集計した結果、2004年ドラフト以降の該当選手は、合計160名でした。(うち支配下指名130名、育成指名30名)
ここには、社会人野球出身選手のほか、独立リーグ球団出身選手、一部海外リーグ出身選手も含まれています。
※※筆者の手作業で集計しましたので、集計ミス等気づいた方がいらっしゃれば、優しくご指摘いただけますと幸いです…。
2.指名年度ごとの分布
まずは各年度のオールドルーキー指名人数について調査してみました。
上記の表を見ていただいたとおり、10年単位で見た場合、NPBにおけるオールドルーキー指名人数はかなりの減少傾向にあります。
(2004~2013年の指名人数が10.3人/年なのに対し、2014~2023年の指名人数が5.7人/年)
00年代中旬にはオールドルーキーを複数人指名する、所謂「即戦力指名」指名が毎年のように複数球団で見られましたが、近年そういった指名を行う球団は数える程となっています。
オールドルーキー指名減少の理由については、ソフトバンクによる育成ドラフトの成功モデル(甲斐拓也選手、千賀滉大投手、牧原大成選手等)が浸透し、育てて勝つスタイルが球界の主流となったことが大きいと考えられます。
ただし、2018~2020年ごろと比較すると、ここ2,3年の指名は若干の回復傾向にあり、また22年ドラフト組の広島末包選手、巨人船迫投手、中日福永選手については1軍でも存在感を発揮していることから、今後のオールドルーキー指名については増加する可能性が見込まれます。
各球団別の傾向については別記事に記載予定です。
3.入団時年齢別の分布
次に、オールドルーキー達の入団時年齢別で集計しました。
今回集計対象の2004年からの期間で、30代のルーキーはいませんでした。
なお、30代でドラフト指名を受けてプロ入りした選手は、歴代でも1人だけだそうです。(1982年中日3位の市村則紀投手、左の中継ぎとして活躍)
29歳でのプロ入りを果たした選手としては、2006年楽天8位の草野大輔選手、同9位の山崎隆広選手の2名が該当します。特に草野大輔選手は、一時4割越えの打率を残すなど、初期イーグルスを代表する左の巧打者として活躍しました。しかし、この2人の指名は、イーグルス創設期における極端な戦力不足を補うために慣行されたものであるため、余程のことがない限り29歳の指名は今後起こることはないでしょう。
28歳まで年齢ラインを引き下げるとちらほら指名例があり、現役選手でいえば2022年日本ハム3位の加藤豪将選手、2020年オリックス8位の阿部翔太投手が該当します。つい2年前に彗星の如く勝ちパターンに定着し、新人王争いを繰り広げた阿部翔太選手も、今年4年目で32歳です。オールドルーキーがプロに適応するために待ってもらえる時間の短さを感じてしまいます。
上表の内容に戻ると、28歳以上の指名人数が年平均0.55人、27歳以上の指名人数が年平均1.3人です。従って、前項で述べた近年のオールドルーキー指名減少傾向も踏まえ、現実的にプロ入りを目指せるのは27~28歳がギリギリのラインのようです。
筆者は今年がプロ入りのラストチャンスです。
4.ポジション別の分布
対象選手160人のうち102人(63.75%)が投手であり、オールドルーキー指名においては投手優位であることが見て取れます。
この点について、投手については自分始動で打者に投球できるため、プロ環境への適応が比較的短く済む一方で、野手は相手始動の投球を見たうえでスイングするという受動的なアクションであることから、プロの球質に慣れるのに比較的時間がかかりやすいことが原因であると考えています。じっくりプロの環境に適応するほどの時間がオールドルーキーには残されていないため、スカウトもオールドルーキー野手の指名に二の足を踏みやすいのでしょう。
ただ、現在広島末包選手や中日福永選手の活躍が著しいため、彼らと同等(以上)の成績を期待できると認められれば、今後野手オールドルーキー指名が増えてくる可能性はありますね。
また、野手指名の4分の1強が捕手であり、比較的捕手も指名されやすいことが見て取れます。ただし、育成含めた捕手指名は2020年育成3位の松井聖選手、支配下指名限定であれば2017年巨人3位の大城選手にまで遡ることになり、捕手カテゴリの指名は近年減少傾向にあります。
各球団の指名傾向についてここで少し触れると…
ということで、球団毎のドラフト傾向が表れているのではないでしょうか。
5.オールドルーキーの活躍度を測定してみる
「活躍度」の定義ということで、本当はセイバーメトリクスの指標を用いて図りたかったのですが、筆者にはそういった指標を算出するような力量はないため、今回は下記の量的貢献を重視した基準に当てはめていきます。
■投手
- ×:通算20イニング未満
- △:通算20イニング以上100イニング未満
- ○:通算100イニング以上250イニング未満
- ◎:通算250イニング以上500イニング未満、または単年タイトル獲得
- ☆:通算500イニング以上、または複数年タイトル獲得
■野手
- ×:通算出場数40試合未満
- △:通算出場数40試合以上200試合未満
- ○:通算出場数200試合以上500試合未満
- ◎:通算出場数500試合以上1000試合未満、または単年タイトル獲得(GG,B9含む)
- ☆:通算出場数1000試合以上、または複数年タイトル獲得(GG,B9含む)
上記の基準に当てはめた結果の表がこちらです。
(現役選手については24年8月20日時点の成績で測定しています)
〇評価以上を「一軍で活躍した」と定義した場合、その数56/160人(35%)でした。
逆にほとんど一軍で活躍できなかった「×評価」の選手も、60/160人(37.5%)と、活躍できた選手、できなかった選手がほぼ同数いるという結果となりました。
今回の量的基準にあてはめた場合、「活躍しているオールドルーキーが思った以上にいる」というのが筆者の感覚でしたが、みなさまのご感想はいかがでしょうか。
「個別に選手を見ていかないとわからないよ!」という方もいらっしゃると思いますので、各選手の活躍については、次回以降の記事にて掘っていく予定です。よろしければ気長にお待ちいただければと思います・・・。
今回の記事は以上です。よろしければ感想等コメントいただければ幸いです。
ここまでお読みくださり誠にありがとうございました。