ベイダーたかはしの野球雑記

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【横浜DeNAベイスターズ】首脳陣やフロント陣に対して思うこと ~2024年ペナントレースを終えて~

0.まえがき

みなさんこんにちは。ベイダーたかはしと申します。

 

先日まで細々と12球団のドラフト考察記事をアップさせていただいており、現在オリックスバファローズ編を作成中しているところなのですが、今回は私の贔屓球団である横浜DeNAベイスターズについてこのタイミングで語りたく、勝手ながら一記事挟ませてください。

 

まえがき執筆時点の10月6日、ベイスターズペナントレース終戦を終え、貯金2の3位でフィニッシュしました。勝ち星でいえば前年とほぼ横ばいの成績であり、ファンによって評価の分かれるシーズンかとは思いますが、筆者としては「難しいシーズンの中よくぞ上位に割って入ってくれた」という思いが強いです

 

そんな全体としてポジティブに総括できるシーズンの戦いぶりについて、今回の記事では首脳陣やフロント陣の働きにフォーカスを当てて、筆者の思うところを記載させていただければと思います。もちろん良かったところばかりではなく、個人的に首をひねるところもいくつかありましたので、そこも含めてお話しさせていただければ幸いです。

あくまで今回の記事では「昨オフから今シーズン終了にかけての首脳陣やフロント陣」の動きに焦点を当てていますので、個々の選手やスタッフの活躍にはできるだけ言及しない点、ご留意のほどをお願いいたします。

 

なお、ポストシーズンを控えているこのタイミングでこのシーズン総括的な記事をアップした理由としては、「ポストシーズンを終えてから総括すると、そこの印象でレギュラーシーズンの印象も過度に歪むのではないか」と感じたからです。余力があればシーズン終了後には個々ののパフォーマンスについてフォーカスした記事を書きたいと思っていますので、そこでポストシーズンの活躍ぶりにも言及できればと思います。

 

 

 

 

1.よかったところ

 

①質と量の伴った積極的な補強

まえがきの部分の繰り返しとなってしまいますが、今シーズンにおけるベイスターズの3位という結果は、よく健闘したと思っています。その理由は明白で、昨シーズン一軍で主力として躍動したメンバーの何名かがオフにチームを去ってしまったからです。

改めて昨シーズン退団した主な選手を挙げると、

 

  • 22先発で148イニング、最多奪三振を受賞したエース今永昇太投手
  • 19先発で130イニング、NPB適応の6月以降は最強クラスのバウアー投手
  • 109試合出場、夏場以降は上り調子で14本塁打ソト選手
  • 40試合登板、こちらも夏場以降は復調のエスコバー投手
  • 13試合に先発、主に前半戦に先発の一角を担ったガゼルマン投手

 

といった通りです。特にエース級の今永投手とバウアー投手に加えガゼルマン投手がいなくなった先発陣の穴は大きく、一気にローテーション2.5枚分ががら空きとなる事態に陥ってしまいました

 

仮に筆者がセリーグ他5球団のファンだったとしたら、今シーズン開幕前の順位予想で、ベイスターズはよくて3位、悪ければ5,6位といったところに位置付けていたと思います。

 

しかし、その危機的な状況を救ったのが、フロント陣による数々の補強でした。特に、バウアー投手に匹敵する球威で相手打者を押し込んだジャクソン投手NPBトップクラスのパワー系左腕となったケイ投手という2名の先発のどちらかがいなければ、チームはあっという間にBクラス確定だったでしょう。その他にもセリーグ新人投手ではトップクラスの成績の石田裕太郎投手、後半戦は支配的な投球を見せたウィック投手、常に試合を壊さず安定して進めてくれた佐々木千隼投手、チーム事情に合わせて調整してくれた森唯斗投手、特に中継ぎとして相手を幻惑した中川颯投手、力強い直球が持ち味の松本凌人投手堀岡投手というふうに、その大きさに差はあれど、支配下で新加入した投手全員が一軍に何らかの形で貢献しました。それに加え、シーズン途中にも筒香選手、フォード選手を獲得し、開幕後も積極的に動いていたことも好印象です。

投手陣を中心に現有戦力に誤算が生じたこともあり、頂点を獲るにはいたりませんでしたが、それでもシーズン終盤まで上位争いに絡むことができたのは、このフロント陣の動きあってこそです。

 

 

②データを活用しようという姿勢

昨シーズンまでスコアラーを務めていた靏岡賢二郎氏が、今シーズンから新設されたオフェンスコーチに就任しました。靏岡コーチの役割としてはデータ分析を起点に攻撃の戦略を練ることなのですが、今シーズンはそのチーム方針が戦い方にも出ていたと思います。

それがよく表れていたのが犠打の使い方でしょう。昨今犠打は得点期待値の向上にあまり寄与しない(むしろ多くの場合期待値を下げてしまう)作戦ということが、若年層を中心に球界にも徐々に浸透しつつあるのですが、昨シーズンと今シーズンのセリーグ各球団の犠打数を比較すると、

 

  • 横浜  :2023年犠打数106→2024年犠打数84
  • 阪神  :2023年犠打数106→2024年犠打数115
  • 広島  :2023年犠打数96  →2024年犠打数116
  • 巨人  :2023年犠打数93  →2024年犠打数125
  • ヤクルト:2023年犠打数115→2024年犠打数137
  • 中日  :2023年犠打数92  →2024年犠打数113

 

 

となっています。上記は「犠打企画数」ではないことに留意は必要ですが、打低環境で犠打に頼るチームが多い中、ベイスターズはチームとして犠打の使い方を制限しようとしていたことが窺えます。ちなみに今シーズンは犠打成功率もベイスターズがリーグトップとのことでした。

それだけに、連敗が込んだ8月や、試合の終盤にバントが増加傾向にあったのは引っ掛かりますが、とはいえこのオフェンスコーチ職を新設してまだ1年です。競技に40年以上関わってきた首脳陣の野球観がいきなり180度変わるわけではないのは当然でしょう。むしろ1年で「新常識」に基づく変化が目に見えたことが素晴らしいと思います

他にも3~6番よりも2~5番に重きを置いた打線をたびたび組むなど、間違いなく取り組みの成果は出つつあるので、来年もさらにこのデータ活用方針を継続強化していただきたいです

 

 

③走塁意識(技術?)の向上

②との相乗効果が大きいと思いますが、今シーズンは足を使った攻撃を見る機会が増えました。特にわかりやすいのが盗塁で、

 

  • 2023年:盗塁成功数33、盗塁失敗数26、盗塁成功率55.9%
  • 2024年:盗塁成功数68、盗塁失敗数27、盗塁成功率71.6%

 

と、目に見えて改善されています。もちろんメンバーが若返ったことも一因でしょうが、成功率の大幅向上の秘訣はチームとしての走塁改善とデータ活用の中にあると見るべきでしょう。

盗塁の他にも、相手外野手のバックホーム時は打者走者は果敢に二塁を狙いに行くなど、チームとして意図を持ちながら積極的に走っていく姿勢が見て取れました。近年のチーム改善策の一つとして重点的に取り組んできた走塁意識改革が着実に実を結んでいますので、牽制死などのポカミスを減らしながら、来年以降もぜひ継続して走りつづけていただきたいです。

 

 

④報道機関に対する監督コメント

賛否あるかもしれませんが、筆者は三浦監督の「報道陣の前では特定の部下を槍玉にあげないようにする」姿勢が大好きです。部下個人に対するマイナス発言が全くないわけではありませんが、少なくともセリーグでは新井監督と並んでそういう発言が少ない印象です。

特定の個人を槍玉にあげる発言は、もしかすると劇薬となって選手の奮起を促すかもしれませんが、その逆も然りです。言われた部下の落胆や失望を買ったり、ひょっとしたらチーム内の確執を生んだりするかもしれません。ファンとしても聞いていて気分の良いものではないことが度々ありますし、チームを勝たせられない時期のマイナス発言は、監督自身に跳ね返ってチームのムードを余計に悪くしてしまう可能性もあります。

その点三浦監督は、そういう個人への発破は表に出ないように配慮していることが明確です。たとえば、8月末に一度降板拒否したウィックを一喝したことについて、取材陣に対してとぼけて見せたことは、その代表例と言えます。

 

これに関連して、どんな酷い負け方をしても試合後取材を拒否しないのも、プロチームの監督としての矜持を感じます。

 

こういう監督の姿を見ると、自然と「やっぱり番長は優しい漢だなあ」と思わせられます。番長のもとで、チームとしてぜひ高みへ昇ってほしいものです。

 

 

2.疑問に感じたところ

①控えメンバーの役割硬直

ここからは「今シーズンの首脳陣やフロント陣に対して疑問を感じるところ」ということで、やや批判的な内容となってしまう点、どうかお許しください。

 

 

今シーズンのベイスターズについて、主力級の野手起用については概ね良かったのではないかと思っています。もう少し具体的に言うと、今シーズン150打席以上立った選手に対しては、ポジション争い等で賛否も聞こえながら、終わってみれば現時点の能力に見合った出番を与えていたのではないかと考えています。

ただしその反面、今シーズンは一軍での役割が少なめであった控え選手の役割が限定的かつ柔軟性に欠けていたように感じてしまいました。たとえば「○○選手は対右の代打一番手」「△△選手は終盤のファースト守備固め専門」というふうに、一軍の用兵が決まったパターンに固まってしまった結果、そのしわ寄せとして必要以上に出番を減らしてしまった選手もいると思っています。

個人的に特に運用面で引っ掛かってしまった選手を挙げると、以下の20代中盤2名と30代の3名の計5名が思い浮かびます。

 

 

  • 林琢真選手:主にショートの3番手兼代走の役割で運用されていました。ですが、まだ2年目にも関わらず、一軍の控えとしてほとんど打席に立てない時期が1か月ほどあったことは疑問です。二軍で実戦値を積ませるのか、それとも一軍で使っていくのか、はっきりしない期間が長かったように思います。

 

  • 知野直人選手:後半戦中心にユーティリティとして一軍に帯同しましたが、ほとんどは代走運用ということもあり、二軍含め打席数も守備機会も減らしてしまいました。林選手と同様、二軍で実戦値を積ませるのか、それとも一軍で使っていくのか、はっきりしない期間が長かったです。

 

この2名に共通するのは、まだ20代半ばと伸びしろの見込める年齢にもかかわらず、一軍と二軍のボーダーラインで宙ぶらりんになっていた期間が1,2か月ほどあったということです。林選手も知野選手も守備走塁になかなかの強みがあり、一軍に置いておくにはありがたい存在ですが、彼らの成長を考えるともったいない期間でした。

若手と言える選手については、一軍にしても二軍にしてもきちんと実戦経験を積める環境の下で、一つ一つの課題を克服してレベルアップさせることを第一義として起用していただきたいです。

 

 

  • 神里和毅選手:守備面では一定の安心感がありますが、打撃面では打率.130の上、青柳投手対策というあまりにピンポイントな役割での起用ばかりでした。しかも昨年は対戦成績8打数1安打、今年は対戦成績7打数2安打で、この期間の安打はすべて単打です。いくら二軍でまずまず結果を出しているとはいえ、過去の相性にこだわっての一軍昇格即スタメンは極端すぎます

 

  • 柴田竜拓選手:宮崎選手の負荷軽減を目的とした途中出場が出番の大半を占めました。本来は内野全般守れることが強みなのに、その良さを使う場面はほとんどありませんでした。加えて、今シーズン夏場以降は復調した打撃面でも出番を増やすことはありませんでした

 

  • 西浦直亨選手:右の代打序列が長く固定化されていたことによるしわ寄せを最も受けた選手だと思います。8月に再昇格後は少ない打席数ながら打率三割をマークしたにもかかわらず、大和選手と入れ替わる形で抹消され、以後は出場なく退団です(引退との報道)控え選手運用において柔軟性に欠けることが、ある意味西浦選手の扱いで強く出てしまったと感じます

 

上記の3名については、1年以上前の印象を頼りに役割を決め打ちしている感が否めませんでした。神里選手が青柳選手を滅多打ちにしていたのも、柴田選手が打率1割台だったのも、西浦選手が打率1割台だったのも、すべて1年ないしはそれ以上前のことです。

首脳陣やフロント陣には、過去の印象に囚われすぎないように気を付けながら、直近で結果を出している選手にきちんと次のチャンスを与えるという原理を徹底することで、ぜひチーム内競争を活性化させていただきたいです。

 

 

 

渡辺明貴投手の支配下登録見送り

今シーズンの首脳陣やフロント陣に対し、筆者が個人的に最も首をかしげたのがこの②についてです。

 

今シーズンのベイスターズはご存じの通り、中継ぎの運用が非常に流動的な一年でした。特に7月は中継ぎが打ち込まれる試合が目立ち、前半戦のブルペン運用を支えてきた徳山投手や中川虎投手、森原投手、坂本投手に疲労が目に見えて表出してきた時期でした。(その後徳山投手と中川虎投手は手術)

当時の他の主な一軍中継ぎを見ても、京山投手やディアス投手は防御率こそいいもののかなりの制球難で、ウィック投手も前半戦の時点では不安定、佐々木投手は悪くないものの首脳陣から全幅の信頼を寄せられるには至らないなど、大真面目に他球団の勝ちパターンに匹敵する投手が一人もいない時期がありました。つまり、当時混戦だったセリーグを勝ち抜くうえで、中継ぎの補強は7月時点ではとんでもなく補強緊急性の高いポイントだったわけです。

 

たしかに7月中盤には不調で二軍調整中だった山崎投手が一軍復帰し、7月末には故障だったウェンデルケン投手が復帰見込み、8月にはこれまた不調だった伊勢投手が一軍復帰する見込みであるなど、好転化する希望がないわけではありませんでした。しかし、この3名中2名が序盤に打ち込まれて二軍落ちを経験している以上、個人的な感覚ではまだまだ不安の方が大きい状況で、多くのファンも似た感覚を持っていたのではないかと思います。

 

そんな不安を払拭してもらうためにも、筆者は7月末の補強期限までに何らかの形で投手補強をしてほしいと願っていましたが、残念ながら投手補強はなく、支配下枠を一つ空けたまま補強期限を終えてしまいました

ただ、補強といっても、その多くの手段は市場や相手チームに成否を左右されてしまうことには留意が必要です。能力のある外国人投手が市場に居なければ助っ人補強はできませんし、妥当な交換条件で中継ぎ候補を出してくれる相手チームがなければトレードを用いた補強もできません。ですので、7月の時点で新加入選手の中継ぎ候補を獲得できなかったこと自体は仕方ないと思っています。

 

 

しかし、自チームの育成選手の中に渡辺明貴投手という、7月末時点のファーム成績で防御率1.69、34登板34イニングで奪三振32という良好な成績を残しているプロ2年目の有望株を抱えていながら、当時火の車であった一軍中継ぎ陣の中で試そうともせず、支配下登録することすらしなかったことには疑問を抱かざるを得ません。おそらく、育成2年目の投手を一度支配下にしてからオフに再び育成契約に戻す際、他球団から横槍を挟まれるリスクを嫌ったのでしょうが、今シーズンの7月の戦いぶりを見ていてそんな余裕は到底なかったことは明らかです。少しでも強いチームを作ろう、そのために少しでもやれることをやろう、という姿勢がここでは感じられませんでした

 

結局8月以降は、ウェンデルケン投手や伊勢投手が復帰、ウィック投手が本来の実力を発揮、中川颯投手が火消しの才能を見せるなど、中継ぎ陣はやや持ち直しを見せました。しかし、一方で、山崎投手は引き続き不調、前半戦のブルペン陣を支えた若手ブレイク組は坂本投手を除いて全員離脱するなど相変わらず不安定さが目立ちました。8月以降にも「ここで渡辺投手が支配下登録されていれば絶対にチャンスが回ってきただろうに…」と思うことは何度かありました。

 

ちなみにその後の渡辺投手は、8月に4失点した試合があったもののそれ以外は安定して二軍のマウンドを締め続け、年間ファーム成績は防御率2.25、48登板48イニングで51奪三振高いパフォーマンスを維持し続けました

あまり結果論で語りたくはないですが、今振り返っても、このレベルの投手を一軍登用できなかったのは、渡辺投手個人としても、チームとしても、非常にもったいなかったと思います

 

 

 

3.まとめ

以上、今シーズンのレギュラーシーズンを終えて、ベイスターズの首脳陣やフロント陣に対して思うことを長々と書かせていただきました。

 

来年、というより今日以降のベイスターズ首脳陣、フロント陣にお願いしたいことをまとめると、

 

  • 「過去ではなく現在の実力を重視して選手を起用する」
  • 「一軍と二軍が協力して緻密に練ったうえで若手育成プランを遂行する」
  • 「勝利のためにベストを尽くす」

 

上記の3点を原則として今後も活躍していただきたいという気持ちです。(月並みなまとめで申し訳ありません)

 

そしてまずはポストシーズンで勝ち上がり切ることを願って、この記事を締めさせていただきます。

 

最後までお読みくださり誠にありがとうございました。