ベイダーたかはしの野球雑記

野球に関する様々な情報/雑感を発信します。

【広島東洋カープ】2024年のドラフト方針を考えてみる

0.まえがき

 

みなさんこんにちは。今年の4月に新井監督のボブルヘッドを入手したベイダーたかはしと申します。(ボブルヘッドはカープファンの友人に譲りました)

 

本記事では前回に引き続き12球団の2024年ドラフト考察シリーズということで、今回は広島東洋カープの2024年ドラフト戦略について考えていきたいと思います。

 

 

 

 

1.現状整理(投手編)

【表の見方】

  • 年齢は「2025年3月31日」時点での数字を記載しています。
  • 今シーズンの一軍出場機会が多い順に「赤太字赤細字→黒字→青細字青太字」で表記しています。(2024年9月17日時点)
  • 育成契約選手は表に記載できていません。

 

シーズン終盤になり疲労からか打ち込まれる頻度が増えてきた投手陣ですが、それでも現在のカープにとって投手力は強みであると言っていいでしょう。編成面を見てもバランスよいメンバー構成であるように思います。

 

まず先発陣ですが、9月17日時点でリーグ防御率2位の大瀬良投手を筆頭に、床田投手、森下投手、九里選手と、安定感と頑丈さを兼ね備える4名が今年も先発の軸として躍動しています。また今シーズンは20代中盤の玉村投手やアドゥワ投手もここまでキャリアハイに近い成績を残しており、ドラ1ルーキー常廣投手や3年目森投手も出番は少ないながらも一軍で力のあるところを見せていることから、先発投手陣の即戦力補強の必要性はそこまで高くないと言えるでしょう。

 

もし気になる点があるとすれば、軸となる4名の先発投手のうち、大瀬良投手と九里投手がベテランといえる年齢に差し掛かってきたことでしょうか。

同期入団の同級生として長年カープのローテーションを支えてきたこの2名は、制球力の高さやバットの芯を外す投球を持ち味としていることから、いきなり衰えることは考えにくいと思います。とはいえ、年齢構成的なことだけを考えると、徐々に若手が実力でベテラン2名からポジションを奪っていく形が合理的でしょう。

そういった懸念が球団にもあってか、昨年のドラフトでカープはドラフト上位を大学生投手で固めるドラフトを敢行しました。9月になりようやく一軍デビューを果たした常廣投手をはじめ、昨年の上位指名投手は必ずしも即効性のある戦力補強とはなっていませんが、一方で彼らが着実に二軍で経験を積んでいるのも事実です。

ですので、昨年のドラフトとのバランスを鑑み、投手陣の年齢的なだぶつきを避ける意味でも、今年のドラフトで即戦力先発候補となる投手の獲得は、1名程度にとどめておくのが無難ではないでしょうか

 

続いて中継ぎ陣の現状についてみていきます。

 

今シーズンの中継ぎ陣における最大の収穫は、黒原投手、塹江投手の台頭と森浦投手の復調による左腕不足の解決に尽きるでしょう。ここ数年は左腕不足が叫ばれていたカープも、今シーズンはむしろ相対的に左腕が充実している部類になるほど、左右のバランスが取れたブルペンとなりました。他にもセットアッパーの島内投手やクローザーの栗林投手の2名をはじめ、ハーン投手やコルニエル投手といった両助っ人、復調を目指す松本投手や矢崎投手、大道投手など、力のある速球とタフさを併せ持つ面々が何人もいます

登板過多による勤続疲労などは心配されるものの、後述の野手編成の問題と比較すると中継ぎ陣についても問題点は大きくなく、もし指名枠に余裕があれば中継ぎ補強目的の投手を1名確保する程度で十分ではないかと考えます。

 

 

2024年ドラフトにおける投手指名については、昨年とのバランスも鑑み、スケール感のある高校生投手を中心としていくのが望ましいでしょう。昨年は育成の杉田投手(順調に成長中)も含め5名の大学生投手を指名した一方で、高校生投手の指名は0名でした。育成も含めて高校生投手は2名くらい指名したいところです。

なお、上表には支配下契約投手しか掲載していないため一見20歳前後の投手が右腕に偏っているように見えるかもしれませんが、この年代の左腕が育成枠に3名(辻投手、杉田投手、新家投手)いることから、高校生投手指名について、そこまで右左にこだわる必要はないように感じました。

 

ということで、ここまで述べたことをまとめます。

 

現状のカープ投手陣容を鑑みたとき、今年のドラフトで狙うべき選手は以下の通りです。

 

【投手指名方針のまとめ】
  1. 未来のエース候補として、育てがいのある高校生投手(育成含めて2名)
  2. 大瀬良投手や九里投手の後釜候補として競争力のある先発候補(1名)
  3. 中継ぎ陣の勤続疲労をカバーできる即戦力中継ぎ候補(できれば1名)

 

 

2.現状整理(野手編)

【表の見方(再掲)】

  • 年齢は「2025年3月31日」時点での数字を記載しています。
  • 今シーズンの一軍出場機会が多い順に「赤太字赤細字→黒字→青細字青太字」で表記しています。(2024年9月17日時点)
  • 育成契約選手は表に記載できていません。

 

今シーズン補強してきた新助っ人野手2名がともにほとんど一軍に出られなかいという大誤算もあり、ここまで打力不足に苦しむカープ。9月17日時点でチーム得点数378はリーグ5位、チーム打率.236とチーム本塁打数51はリーグ最下位の数値となっていることがその何よりもの証拠です。

 

野手陣の中で特に指名優先度が高いのは外野であると考えています。

現在のカープ外野陣で主軸といえる存在は秋山選手と野間選手の2名で、この2名は今シーズンも高い身体能力と出塁能力を活かし、攻守チームに貢献しているものの、年齢的にはベテランといえる存在です。実際に、時折この2名(特に野間選手)は時折休養を与えられながらプレーをしており、いつまでもこの2名にまかせっきりではいけません

この2名に次ぐ存在としてはパワー自慢の末包選手がいますが、彼もまだプロでシーズンを完走した経験はなく、不動のレギュラーとして計算するには難しい存在です。

そして、その次に外野で出場機会を得ている選手はユーティリティの上本選手であり、彼も34歳と、現在のカープ外野陣はベテランへの依存度が非常に高くなってしまっています。

 

それを示唆する一つのデータとして、2024年9月18日時点におけるセンターでのスタメン出場試合数が以下の通りになっています。

(筆者の手集計なので、間違いがあれば申し訳ありません)

 

  • 秋山選手(36歳):107試合
  • 野間選手(32歳):18試合
  • 上本選手(34歳):2試合
  • 久保選手(24歳):2試合

 

上記の通り、攻守の柱となるセンターを担える20代選手が非常に少なく、久保選手についても目立った成績は残していないことに加えて怪我を負っていることを考えると、一軍控えレベルで攻守に期待できる外野手が手薄であることがお分かりいただけるかと思います

二軍に目を向けると、成長株の田村選手や地元ドラ1選手の中村奨成選手など、20代前半で好成績を残している選手はいます。しかし、彼らは今シーズン一軍である程度打席数を与えられた結果壁にぶつかってしまっており、来シーズンに外野の一角として計算できる存在とは言えません。加えて、その他の20代外野手も、年齢を考えれば伸び悩みの感は否めません。

従って、ベテランの多い一軍外野陣に割って入れる実力を持った即戦力候補の外野手の指名は最優先で行っていくべきでしょう。

 

 

一方、内野陣についてみていくと、外野ほどは即戦力候補指名の優先度は高くないと考えています。特に三遊間については20代中盤の矢野選手と小園選手が不動のレギュラーとして定着しており、小園選手にコンバートの可能性はあるにしろ、今後数年は計算できる若い世代の中心選手が存在しています

とはいえ、内野陣についても問題がないわけではありません。特に、菊池選手の後釜育成は喫緊の課題であると言えるでしょう。

今シーズンの菊池選手は、軽快な守備と思い切りのよい打撃を武器に、まだまだ元気な所を見せており、チームへの貢献度も高いです。しかし、25年3月には35歳を迎えるこの名手も、忍者と呼ばれた全盛期と比べると、緩やかに成績を低下させているのも事実です。従って、菊池選手の後釜候補となる二遊間タイプの選手をドラフトで指名したいところです。

 

ただ、現在のカープには、二俣選手、佐藤選手、羽月選手、韮澤選手といった20代前半のセカンド候補の選手が何人もおり、これ以上大学生や社会人の二遊間タイプの選手を指名してしまうと年齢的なだぶつきが発生してしまうリスクがあります。だぶついた分はトレードすればいいという考え方もあるでしょうが、トレードは相手球団あってのことなので、トレードに消極的なNPBにおいて必ずしも思い通りの対価が得られるとは限りません。ですので、直近の菊池選手後釜問題については既存20代前半メンバーの台頭に期待し、2024年ドラフトでの即戦力候補の指名優先度は少し下げてもいいのではないかと思います。

 

むしろ2024年ドラフトについては、今の20代中盤世代のさらに次の世代となる高校生ショート系の選手を狙っていくのが良いのではないかと個人的に考えていますというのも、現在のカープ内野陣には20歳前後の二遊間系プロスペクトが支配下にいません。(内田選手と仲田選手はどちらかというと一三塁系の選手です。)

幸いにも今年の高校生ショートには有力な選手が何名かいることからも、その中から特に鍛えがいのある選手を1名獲得したいところです。

 

 

菊池選手の後釜問題についてはこのくらいにして、最後にレギュラーの定まらないファーストについても軽く見ていきます。

今シーズン最もファーストで出番があったのは、今年で33歳の堂林選手ですが、9月17日現在で打率.229、本塁打1本、OPS.573とかなり物足りない成績になってしまっています。次いで多いのが本職捕手の坂倉選手で、坂倉選手を一塁手として起用すると捕手の攻撃力が低下するというジレンマが発生してしまいます。

ということで、打力不足の大きな一因となっている一塁手についても、大砲候補を指名してチームとしての破壊力を高めておきたいところです

 

ただ、個人的な見立てですが、カープは12球団で最もファーストを助っ人外国人に依拠させる傾向にあります。フロント陣の方針が一新されるようなことがない限り、今オフもアメリカから大砲候補の助っ人を連れてくるでしょう。

従って、そういうある種カープらしい補強方針を今オフでも貫くのであれば、ドラフトで一塁手タイプの大砲候補を指名する可能性は低いでしょう。仮に指名枠に余裕があれば1名獲得する程度で十分ではないでしょうか。

 

 

【野手指名方針のまとめ】
  1. 一年目からレギュラー争いに割って入れる、即戦力候補の外野手(最低1名)
  2. 二遊間タイプのプロスペクト(1名)
  3. 長打力を補填しうる大砲候補(できれば1名)

 

 

3.ドラフト指名案

以上の通り、現状のカープには野手の方により大きな課題がみられると認識しています特に外野手についてはすぐにでも即戦力を確保したく、最優先で指名を狙いたいポイントではないかと考えています。

そこで、今回はまず1つ目の指名案として、今春の日本代表にも選ばれ、今ドラフトでもトップクラスのスラッガーとしての呼び声高い西川選手(青山学院大)獲得を前提とした指名プラン(以下、「西川選手指名プラン」)を考えてみました打撃面での期待値の高い西川選手を最優先で獲得しつつ、2位以下でバランスよく補強ポイントを埋めるプランです。

一方で、昨年に投手ドラフトを行った反動として、今年はより野手重視のドラフトを敢行することも考えられます。この野手ドラフトでも、1位から即戦力外野手を狙うことも十分に考えられますが、ここは2つ目の案として、高校生ナンバーワン野手の呼び声高い石塚選手(花咲徳栄)を1位指名するプラン(以下、「石塚選手指名プラン」)を考えてみました。上位で完成度の高い外野手を確保し、一気に攻撃力問題を解決させようという狙いの指名です。

 

指名人数としては悩ましいところですが、今年のカープ支配下枠をあまり空けずにシーズンを開始したこと、既存の選手を比較的長めに見る傾向にあることを鑑み、5人指名を想定させていただきました。

 

なお、筆者はただの野球素人ですので、技術的な内容の記載は全くあてにならない点に加え、ドラフト候補選定についても素人筆者の独断と偏見に基づいている点はご了承ください。

 

 

【西川選手指名パターン】
  • 1位:西川史礁選手(青山学院大
  • 2位:斎藤大翔選手(金沢高)
  • 3位:高尾響投手(広陵高)
  • 4位:徳山一翔投手(環太平洋大)
  • 5位:岡本駿投手(甲南大)

 

  • 1位の西川選手は、圧倒的な飛距離と確実性を高いレベルで兼備する、今ドラフトではトップクラスの打力を誇る大学生外野手です。強肩も魅力で、少なくとも両翼を守るには十分な守備力もあるため、1年目から一軍で経験を積ませやすい存在でもあります。カープが探し続けるポスト鈴木誠也選手に、最も近い存在ではないでしょうか

 

  • 2位の斎藤選手は、今年の高校生ショートではナンバーワンの守備力との呼び声高い右打ちショートです。50m6.0秒、遠投120mの身体能力に加え、守備時の動きに無駄がなく、美しささえ感じます。まだ線は細く、打撃力を鍛える必要はありますが、数年後には矢野選手に続く守備最強内野手になれる逸材です。

 

  • 3位の高尾投手は、最速148km/hの、高校生ではトップクラスの安定感を誇る広陵のエースです。一言でいうとゲームメイク力に長けており、制球力を武器に各打者をどのようにして打ち取るかのスキルが非常に高いです。進路は社会人かプロの半々とのことで、その動向には注目が集まります。

 

  • 4位の徳山投手は、タメの大きなフォームから最速152km/hを投じる力投派左腕です。好調時の投球は圧倒的で上位指名候補と見られていたものの、今年に入ってコンディション不良に悩まされています。中下位でも地元左腕の獲得チャンスはあると予想します。

 

  • 5位の岡本投手は、最速149km/hを誇る、球威と荒れ球が魅力の大学生右腕です。大学生ですが、185cm82kgの数値以上に細身な印象で、2,3年後の成長幅に期待できますカープの好みそうな大型右腕であり、かつ新井監督の息子が系列高校に通っていますので、個人的にカープの下位指名があるのではと予想しています。

 

 

 

【石塚選手指名パターン】
  • 1位:石塚裕惺選手(花咲徳栄高)
  • 2位:吉納翼選手(早稲田大)
  • 3位:柴崎聖人選手(大阪経済大)
  • 4位:山口廉王投手(仙台育英高)
  • 5位:鷲尾昂哉投手(三菱重工West)

 

  • 1位の石塚選手は、攻守に高校生離れした完成度を誇る、三拍子そろった高校生ナンバーワンショートです。通算本塁打26本の長打力や身体能力の高さも魅力ですが、それ以上に守備時の足の運びとか打撃時のアプローチといった技術面が非常に高度であり、高校生ながら早々に一軍戦力になるのではないでしょうか。

 

  • 2位の吉納選手は、レベルの高い東京六大学リーグで本塁打を量産する、大学生屈指の強打者です。長打力だけでなく出塁率の高さにも定評があり、打つ方ではプロでも安定した成績を期待できます。守備面も両翼を守るには十分な身体能力を備えており、今秋のリーグ戦で打ちまくっていることから、2位に残らない可能性もあるでしょう。

 

  • 3位の柴崎選手は、俊足巧打が持ち味の、センター候補の大学生外野手です。50m5.9秒の俊足、遠投110mの肩とセンターとして十分な身体能力を持っているだけでなく、打撃ではセンター方向に本塁打を放つパンチ力も備えています。育てていけば、近本選手のような長打も期待できる1番センターになれるポテンシャルを秘めているのではないでしょうか。

 

  • 4位の山口投手は、身長193cm体重95kgの恵まれた体格から最速151km/hのストレートを投げこむ、大型の素材型高校投手です。まだ球速やフォームがそこまで安定していない印象ですが、スケール感は好投手ひしめく今年の高校生投手でも上位で、5年間みっちり育てる価値のある投手です。

 

  • 5位の鷲尾投手は、タメの大きなフォームから、最速150km/hのストレートと落差の大きいフォークを投じる大卒二年目投手です。今年の都市対抗でもトヨタ自動車相手に3回4k無失点で抑えるなど、層の厚い三菱重工West投手陣でも主戦投手として活躍しています。先発でも中継ぎでも使い勝手よく起用できる投手だと思っています。

 

 

今回の記事は以上です。

ここまでお付き合いくださり誠にありがとうございました。

 

次回は2024年読売ジャイアンツのドラフト戦略について記事にする予定です。