0.まえがき
みなさんこんにちは。
人生で最も衝撃を受けたホームランといえば、2013年のvs前田健太投手からバレンティン選手が放った第54号ホームランが真っ先に思い浮かぶ、ベイダーたかはしと申します。
本記事では前回に引き続き12球団の2024年ドラフト考察シリーズということで、今回は東京ヤクルトスワローズの2024年ドラフト戦略について考えていきたいと思います。
1.現状整理(投手編)

【表の見方】
- 年齢は「2025年3月31日」時点での数字を記載しています。
- 今シーズンの一軍出場機会が多い順に「赤太字→赤細字→黒字→青細字→青太字」で表記しています。(2024年9月29日時点)
- 育成契約選手は表に記載できていません。
「投手陣が課題」と言われて久しいスワローズ。残念ながら今シーズンもそのイメージを払拭することができておらず、チーム防御率3.66は他5チームから引き離されてリーグ最下位の数値です。(9月29日時点)
特に課題が多いのが先発陣です。9月29日時点でのチーム先発防御率4.10は12球団でもワーストの値であり、ヒッターズパークの神宮球場を本拠地としていることを考慮しても、打低傾向の今シーズンにおいて苦しい先発台所事情であることが窺えます。
個々の顔ぶれを見ると、今シーズンは吉村投手、高橋投手、ヤフーレ投手、サイスニード投手の4名が先発陣の主力として回っていました。
このうち吉村投手と高橋投手は好調時には手を付けられない投球を披露するものの、一方でノックアウトされる試合も少なくなく、エースと呼ぶには少し物足りない印象です。また、ヤフーレ投手は比較的安定した投球でゲームメイクするものの支配的とまでは言えず、サイスニード投手も今シーズンは不振に陥っていることから去就も微妙な状況です。
その他の先発候補を見ても、石川投手、小川投手、高梨投手らの全盛期とは言えないベテラン勢、リリーフに適性を見せる小澤投手やロドリゲス投手、怪我耐性に疑問が残る山下投手や奥川投手、一軍での継続的なパフォーマンスに課題がある松本健投手や阪口投手など、年間のローテーションを任せるにはなんらかの不安要素のある面々が顔を連ねてしまっています。彼らも単発では好投を見せるもののその後が続かないことが非常に多く、主戦級の先発だけでなく5,6番手を担うレベルの先発投手についても課題が大きい状況です。
従って、スワローズについては他球団にも増して先発投手陣を補強する必要性が高いと言えます。プロですぐに先発を任せられるレベルの投手はそう簡単に指名できるものではありませんが、可能であれば複数人の即戦力候補先発投手を獲得したいものです。そして、現戦力に左の先発候補投手が他球団にも増して手薄であるため、もし可能であれば左投手を獲得したいところです。(個人的にはあまりこだわりすぎない方がいいとは思いますが)
一方で中継ぎ陣についてですが、こちらは9月29日時点でチーム防御率2点台と一定の成績を残しており、先発陣と比べれば補強の必要性は薄いように思います。
特に今シーズン後半戦にかけて20代の投手を中心に勝ちパターンを形成できたことが大きく、サイドからの荒れ球が持ち味のクローザー小澤投手、長身から驚異的な剛球で相手をねじ伏せるロドリゲス投手、タフさと強気の投球が光る大西投手の3人による継投は、他球団の勝ちリリーフと比較しても遜色ない安定感を誇っています。
その他にも木澤投手、丸山翔太投手、山本投手、田口投手など、今季(も)結果を残した20代の面々だけで一軍中継ぎ陣を形成できる質と量が揃っています。二軍で思うように成績を残せていない投手も少なくないのは事実ですが、他のポジションの補強優先度を考慮すると、中継ぎの補強を目的とした指名にリソースを割くのは避けるべきと考えます。
最後に、今ドラフトにおける高卒投手指名の必要性について軽く触れます。
昨年は支配下で高卒投手を指名していないことや、近年の高卒投手がなかなか一軍に近いラインまで成長しきっていない事実があり、次世代を担う投手候補が不足していることは否めません。
ただ、先にも記載した通り、特に現有の先発投手層に課題を抱えている以上、どうしてもドラフト上位の枠については即戦力より近い存在に割り当てざるを得ないでしょう。したがって、下位もしくは育成枠を使って、高卒投手を1~2名程度獲得するのが現実的な路線かと思います。
ということで、ここまで述べたことをまとめます。
現状のスワローズ投手陣容を鑑みたとき、今年のドラフトで狙うべき選手は以下の通りです。
【投手指名方針のまとめ】
- 来年の先発ローテ候補、近未来のエース候補として、即戦力としての働きが見込みやすい先発投手(最低2名)
- 5年後の一軍戦力として育てる価値のある高校生投手(育成枠含めて1,2名)
2.現状整理(野手編)

【表の見方(再掲)】
- 年齢は「2025年3月31日」時点での数字を記載しています。
- 今シーズンの一軍出場機会が多い順に「赤太字→赤細字→黒字→青細字→青太字」で表記しています。(2024年9月29日時点)
- 育成契約選手は表に記載できていません。
多くの解説者から「打つ方はいいんだけどね」と評されることの多いスワローズ野手陣。事実、今季もスワローズの選手で個人打撃タイトルを総なめしそうな勢いで、リーグでも屈指の破壊力を誇る印象です。しかし、そんな野手陣も編成面に目を向けるといくつかの課題が浮かび上がってきます。
その中でも最もスワローズファンを悩ませるポイントが、村上選手の後釜問題でしょう。
今シーズンも例年通りリーグではトップクラスの打撃成績を残しており、精神面も含めてまだ24歳とは思えないチームの大黒柱として君臨しています。一方でMLB移籍に向けて代理人契約を結んだ旨が報道されており、来年には村上選手も25歳となって球団に入るポスティング資金がぐっと増えることから、近未来のMLB挑戦がいよいよ現実味を帯びてきています。プロ2年目以降ずっと高いレベルで安定した成績を残している村上選手が来年も同程度(以上)の成績を残す可能性は高く、それ自体はチームにとってもファンにとっても喜ばしいことなのですが、それはすなわち村上選手がよりMLB移籍により近づくことにつながります。
ですので、村上選手の流出に備え、今年のドラフトでは打撃力に強みのある選手を、今のうちに優先度を上げて獲得するべきでしょう。村上選手に加え、複数年契約中のオスナ選手やサンタナ選手も健在であろう来シーズンまでは打線の破壊力もある程度担保されていますが、両外国人の年齢も踏まえ、将来的なチーム打撃力についてはかなり未知数だと言わざるを得ません。今シーズンは赤羽選手や澤井選手などパンチ力ある若手選手が輝く場面も見られたものの、彼らだけに将来の長打力を託すには物足りない感は否めず、攻撃的な才能が豊かな選手をできれば複数人指名していきたいところです。
特に三塁手は村上選手に続く存在が現状不足しており、二軍で主に三塁を守る西村選手や高野選手はまだまだファームで鍛えるべき存在です。何人かユーティリティタイプの選手がいることを考慮しても手薄な感は否めないため、攻撃力のあるサードはできれば優先的に指名していきたいポイントです。
他の野手陣の課題に目を向けると、外野を本職とする選手の少なさが目立ちます。今シーズン限りで青木選手、山崎選手の引退が決まっており、現時点で外野手登録の選手は8人しか残らないことになります。宮本選手や増田選手、赤羽選手などの内野手登録の選手が外野を守ることも少なくないとはいえ、彼らはあくまでそのユーティリティ性を強みとする選手であり、彼らを簡単に外野メインの選手としてカウントするのはもったいなさを感じます。来シーズンすぐに一軍起用にも耐えうるクオリティの外野手を数名指名することは必須でしょう。ただし、現有戦力には中軸を担うサンタナ選手に加え、センターとして攻守に一定のクオリティを出せる西川選手、丸山和郁選手、岩田選手、塩見選手らがおり、絶対的なレギュラーこそ少ないものの個々の能力自体は高いです。
したがって、外野手の獲得については、早いうちに現有戦力に負けずに一軍戦力としての活躍が見込める総合力の持ち主に絞って獲得すべきでしょう。
最後に、ショートの選手層が薄い点についても触れていきます。
今シーズンは長岡選手が打撃面で一皮むけ、もはやリーグを代表するショートといえる存在に成長しました。この長岡選手にはしばらくレギュラーとして活躍が見込める一方で、彼以外にショートを本職として守るのは、武岡選手、伊藤選手、小森選手の3名くらいと少なく、編成面を考えるともう1枚くらいはショート本職の選手を加えたいところです。
長岡選手も含め今名前を挙げた面々は20代前半と年齢層が重複しているため、年齢バランスを含めて高校生のショート候補を1名獲得するのが理想的だと思います。
ということで、ここまで述べたことをまとめます。
現状のスワローズ野手陣容を鑑みたとき、今年のドラフトで狙うべき選手は以下の通りです。
【野手指名方針のまとめ】
- 村上選手の後継者として近未来の攻撃力アップに貢献できる選手(最低1名)
- 現在の一軍メンバーに対し、早いうちからレギュラー枠競争ができる、総合力の高い即戦力候補の外野手(できれば2名)
- 次世代の守りの要のとなりうる高校生ショート(1名)
3.ドラフト指名案
ここまで述べた通り、投打ともに現有戦力に課題のあるスワローズですが、今回のドラフトで何に優先的にリソースを割くかは判断が難しいところです。ただ、その中でも先発候補投手の不足感は今シーズン(も)露呈した課題であり、ここに対する対処は急務であると考えます。
従って、今年ドラフトでは、候補投手の中でも頭一つ抜けた高い評価を受けている関西大金丸投手をトップターゲットとして狙うべきでしょう。この金丸投手を軸とした指名パターン(以下、「金丸投手指名パターン」)を1つ目の指名案として作成しました。金丸投手を筆頭に、完成度の高い大学生でドラフト上位を固め、早いうちから一軍戦力を活性化させることをできるだけ重視した方針の内容となっています。
ただし、金丸投手は間違いなく争奪戦となるほどの人気銘柄のため、獲得するには相当な運が絡むでしょう。そこで、大学生投手では競合必至の金丸投手や愛工大中村投手に次ぐ存在である、法政大篠木投手を軸とした指名パターン(以下、「篠木投手指名パターン」)を第二案として考えてみました。こちらの指名案では現有戦力における課題をバランスよく埋めたうえで、次世代の投資にもバランスよくリソースを割くことを目指した内容となっています。
なお、支配下での指名想定人数については、上記で述べた通りチームとしての補強ポイントが多いことを踏まえ、例年より多めの7名を想定して案を作成しています。
【金丸投手指名パターン】
- 1位:金丸夢斗投手(関西大学)
- 2位:寺西成騎投手(日本体育大学)
- 3位:柳館憲吾選手(國學院大学)
- 4位:児玉悠紀投手(青山学院大学)
- 5位:知念大成選手(オイシックス新潟)
- 6位:井上幹太選手(金沢学院大学)
- 7位:坂口優志選手(樟南高)
- 1位の金丸投手は、洗練されたフォームから最速154km/hの直球を軸に奪三振を量産する、歴代で見てもアマチュア球界最高クラスの左腕です。多彩な変化球もすべて一級品で、正直言って欠点が見当たりません。ルーキーイヤーからいきなりスワローズの大黒柱として躍動しても全く不思議ではありません。
- 2位の寺西投手は、バランスのいいオーバースローから最速153km/hのストレートと鋭く落ちる変化球で打者を打ち取る右腕です。今秋はコンディション不良でやや出遅れたものの完成度の面では大学球界屈指であり、即戦力性の高い投手と見ています。高校時代の先輩である奥川投手や同級生の内山選手もおり、環境面でもスワローズはうってつけではないでしょうか。
- 3位の柳館選手は、投手レベルの高い東都大学リーグで安定して安打を量産し続ける、ツボにはまった時の一発も持ち合わせる巧打者です。3年春には一部リーグ首位打者に輝き、大学日本代表でもクリーンアップを担うなど、実績面も十分です。肩や走力といった身体能力も、サードやセカンドを守るには十分な資質を持っている印象です。
- 4位の児玉投手は、最速147km/hの直球と大きく曲がるスライダーを軸に投球を組み立てる、ゲームメイク力の高い左腕です。特に制球面に優れており、外角低めをベースに打者を惑わし凡打の山を築きます。今春のリーグ戦で最優秀投手に輝くなど、昨年ドラ1の先輩に見劣りしない安定感を見せつけています。
- 5位の知念選手は、オイシックスでプロ2軍球団を相手に安打を量産し続ける即戦力候補の外野手です。3割越えのアベレージだけでなく、パンチ力や俊足といった武器も備えており、何よりプロ相手に年間を通して結果を出し続けているという安心感があります。
- 6位の井上選手は、リーグ戦通算13本塁打を放っている左のスラッガー候補です。全国大会でも本塁打を放った経験もあり、代表候補合宿でも安打を放つなど、決して地方リーグだけで結果を残しているわけではないのも評価ポイントです。大学ではDHを務めることも多いなど、守備面についてはやや課題が残ります。
- 7位の坂口選手は、全国大会での実績はないものの、ライナー性の打撃としなやかな守りに定評のある高校生ショートです。特に送球面に強みがある印象で、安定したスローイングでアウトを量産します。上位候補の石塚選手らと並んでスワローズがリストアップしているとの記事を見かけたので、チームとしてかなり高く評価していることが窺えます。
【篠木投手指名パターン】
- 1位:篠木健太郎投手(法政大学)
- 2位:齋藤大翔選手(金沢高)
- 3位:吉納翼選手(早稲田大学)
- 4位:竹田祐投手(三菱重工West)
- 5位:荒巻悠選手(上武大学)
- 6位:堀江正太郎投手(文星芸大付高)
- 7位:道原慧選手(NTT東日本)
- 1位の篠木投手は、全身をダイナミックに使ったフォームから最速157km/hを投げ込む剛腕投手です。春は故障で低下気味であった球速もここ最近は戻りつつあり、多彩な変化球を用いた制球重視の投球も身に着けたことから、先発投手としての完成度はむしろ高まってきているように思います。
- 2位の齋藤選手は、今年の高校生ショートではナンバーワンの守備力との呼び声高い右打ちショートです。50m6.0秒、遠投120mの身体能力をベースとした無駄のない守備は、既に高い完成度を誇ります。バッティングも徐々に力強さが出てきており、数年後には高い確率で1軍戦力になれる逸材です。
- 3位の吉納選手は、レベルの高い東京六大学リーグにて神宮球場で本塁打を量産する、大学生屈指の強打者です。軽く振ったようにも見えるコンパクトなスイングで長打を量産しており、プロでもすぐに打てそうな対応力の高さを感じさせます。センタータイプとは言えない選手ではありますが、今秋も打撃好調であり、3位での獲得は難しいかもしれません。
- 4位の竹田投手は、最速153km/hの速球と多彩な変化球を武器に、安定したゲームメイクを行える即戦力候補の先発右腕です。昨年はやや不調で指名を逃したものの、今年は自己最速を更新するなど復調しており、先発投手としての完成度はアマチュア球界でも屈指です。
- 5位の荒巻選手は、鋭いスイングで豪快な長打を量産する、今年の大学生では屈指の強打を誇る内野手です。特に今春のリーグ戦では本塁打と打点の二冠に輝き、今秋も好調をキープするなど、勢いに乗った時の打撃は手が付けられません。走力は特段高くないものの、守備ではセカンドを時折守るなど、ある程度の使い勝手も備えています。
- 6位の堀江投手は、最速147km/hの直球とカットボールなど変化球のコンビネーションで打者を簡単に打ち取る高校生右腕です。今夏予選で自己最速を更新したうえで奪三振を量産するなど、好投手ひしめく今年の栃木県でも評価を上昇させています。187cmと上背もあり、もう少し出力が伸びればプロ相手でも先発として好投する姿が目に浮かびます。
- 7位の道原選手は、一塁到達3.9秒台の俊足と遠投110mの強肩が持ち味の、センターを守るのに十分な守備能力を持ち合わせた大卒2年目の外野手です。本塁打は多くないものの広角に安打を量産する巧打もあり、引退を表明した山崎選手の後継者としてはうってつけでしょう。
どちらの指名も、現状のスワローズにおける課題を早期に解決して上位に返り咲く上で、その足掛かりとなれる内容となったのではないでしょうか。
ということで、今回の記事は以上です。
ここまでお付き合いくださり誠にありがとうございました。
次回は2024年中日ドラゴンズのドラフト戦略について記事にする予定です。