0.まえがき
みなさんこんにちは。ちょくちょくバファローズ応援席で観戦するものの応援歌をすべて覚えられる気がしない、ベイダーたかはしと申します。大変申し訳ないのですが、主要選手数名に割り当てられているチャンス版応援歌は覚えることをあきらめて現地に臨んでいます。
本記事では前々回に引き続き12球団の2024年ドラフト考察シリーズということで、今回からはパリーグ編ということで、まずはオリックスバファローズの2024年ドラフト戦略について考えていきたいと思います。
1.現状整理(投手編)

【表の見方】
- 年齢は「2025年3月31日」時点での数字を記載しています。
- 今シーズンの一軍出場機会が多い順に「赤太字→赤細字→黒字→青細字→青太字」で表記しています。(2024年10月6日時点)
- 育成契約選手は表に記載できていません。
今シーズンは4年ぶりにリーグ優勝を逃してしまったバファローズ。昨年までの主力に故障が相次いだこともあり、最後まで波に乗り切れないシーズンとなってしまいましたが、投手陣については若さと実力を兼ね備えた充実の布陣といえるでしょう。
まず先発陣ですが、山本由伸投手の流出こそ痛手であったものの、宮城投手がいつも以上の安定感を発揮し、エースとして君臨しています。また、今シーズンは曽谷投手が秘めたるポテンシャルを開花させ、力で押し切れる投球を武器に一気に主戦級の先発として定着しました。
三番手以降にも、動く球を使いこなすエスピノーザ投手とカスティーヨ投手の両外国人、出場できれば高いクオリティを見せる東投手や山下投手、年間通してほぼローテーションを守った田嶋投手、ルーキーの高島投手など、今年も一軍で確かな成績を残した面々が揃っており、しかも彼らのほとんどが20代と若いです。
それに加え、いわゆる一軍主戦級以外にも佐藤投手や齋藤投手、川瀬投手や椋木投手など、一軍でも経験を積んでいるプロスペクトが研鑽しています。
ここまで先発陣の活きの多い顔ぶれについて触れたところで、いったん中継ぎ陣に話を移します。
今シーズンは、山崎投手、宇田川投手、小木田投手、山岡投手など、昨年まで主力として活躍した顔ぶれの多くが故障等で調子を落とすという苦境にもかかわらず、チーム中継ぎ防御率はリーグ2位の2.67と高い安定感を誇りました。その大きな理由としては、実績十分のマチャド投手とぺルドモ投手の両助っ人、吉田投手や鈴木投手、井口投手といった移籍組、スーパー即戦力ルーキー古田島投手などの新加入組が躍動したからに他なりません。今年は振るわなかった3連覇時の主力リリーフのバウンスバックにも期待できることから、来シーズンもバファローズ中継ぎ陣は高い強度を誇ると見ていいでしょう。
もし中継ぎ陣に注文をつけるのであれば、左の中継ぎ候補を追加したいところです。今シーズン左の中継ぎの役割を担ったのは山田投手と富山投手で、この二名は確かな実績も有する存在ではあるのですが、それに続く存在が育成含めて現状ほとんどいない状況です。右のパワーピッチャーは現状豊富にいることから、チームバランスを考えて中継ぎでも起用可の即戦力候補左腕は1名獲得したいところです。
さて、ここまでバファローズ投手陣の若さと充実ぶりについて述べさせていたのですが、もう一点強いて不安要素を挙げるとすれば、今シーズンの投手陣において4名の投手助っ人への依存度が高かった点です。
助っ人外国人が活躍すること自体はとても良いことです。実際、今シーズンのバファローズは先発ローテ中位のエスピノーザ投手とカスティーヨ投手、勝ちパターンのぺルドモ投手とマチャド投手が、多少の離脱もありながらも本来の実力を発揮しました。ただし外国人枠を4枠投手に割けた要因としては、セデーニョ選手を除く外国人野手が本来の実力を発揮できなかったことによる部分が大きいでしょう。外国人補強に比較的積極的なバファローズが、今オフも新外国人野手を連れてくる可能性は高いと思います。
したがって、先ほど述べた中継ぎ左腕に加え、もう1名くらいは即戦力候補の投手を獲得したいところです。後述の通り野手の方が指名優先度が高い印象なので多くのリソースは避けませんが、とはいえ投手陣のテコ入れも無視できないところです。
最後に高卒投手の指名についてですが、今年もぜひ継続していただきたいというのが個人的な思いです。近年のバファローズは支配下育成を問わず高卒投手育成にて一定の成果を出しており、かつ今年の高校生投手に力のある顔ぶれが多いことから、利き腕関係なく、支配下で最低1名、育成含めて3名程度獲得していくべきでしょう。
ということで、ここまで述べたことをまとめます。
現状のバファローズ投手陣容を鑑みたとき、今年のドラフトで狙うべき選手は以下の通りです。
【投手指名方針のまとめ】
- 近年の育成成功事例に続ける好素材高校生投手(支配下で最低1名、育成含めて複数名)
- 山田投手と富山投手に続く即戦力左腕中継ぎ候補(1名)
- 先発中継ぎ問わず早めに一軍で運用できそうな力量の即戦力候補投手(1名)
2.現状整理(野手編)

【表の見方(再掲)】
- 年齢は「2025年3月31日」時点での数字を記載しています。
- 今シーズンの一軍出場機会が多い順に「赤太字→赤細字→黒字→青細字→青太字」で表記しています。(2024年10月6日時点)
- 育成契約選手は表に記載できていません。
年間を通して攻撃力の低さに苦しんだ今シーズンのバファローズ。昨年のシーズン得点数508に対し、今年のシーズン得点数は402であり、この下がり幅(得点数マイナス106)は12球団でもワーストの値です。年間とおして二桁得点の試合がなかったという不名誉な記録を残してしまったバファローズ野手陣には、大きなテコ入れが必要となるでしょう。
最も改善が必要と思われるのは外野陣です。
まず、上表で外野手登録に分類している選手全員の打撃成績を合計した、バファローズ外野陣の総合的な攻撃スタッツが下記の通りです。
(筆者の手計算のため、誤りがあれば申し訳ありません)
上記の通り、本来攻撃力でチームをリードすべき外野陣があまり貢献できておらず、チーム打率.238と比較しても低い数値であることからもそのことは明らかです。また、バファローズの場合は内野手登録の選手が外野を守るケースもあるものの、外野起用の多かった中川選手や廣岡選手も今シーズンは低調な成績に終わってしまっています。
さらに、この外野陣の中心メンバー存在にベテランが多いことも大きな懸念点の一つです。今シーズンの外野手で打席数が多い順で3名を並べると、
- 西川龍馬選手(30歳) :打席数553 打率.258 本塁打7 盗塁11
- 福田周平選手(32歳) :打席数261 打率.232 本塁打1 盗塁7
- 杉本裕太郎選手(33歳):打席数239 打率.233 本塁打11 盗塁1
となっており、この3名も本来の実力を考えれば明らかに低調な成績ではありますが、とはいえ攻撃面で明らかに彼らベテラン頼みになってしまっていることが分かるかと思います。たしかに来田選手や渡部選手、茶野選手など光るものを持つ若手外野手がいないわけではありませんが、来シーズンにレギュラーとしての働きを計算するにはまだ課題のある存在と言わざるを得ません。
したがって、攻撃力を中心に総合力が高く、来シーズンすぐにレギュラーを争う可能性の高い即戦力候補の外野手は必ず獲得するべきでしょう。バファローズのことなので新たな助っ人外国人にも動くかと思いますが、ドラフトも用いてチーム外野陣に新陳代謝を促していきたいところです。
次に内野陣に目を移すと、外野陣ほどは大きな課題はないものの、こちらもテコ入れを行う必要があるでしょう。
特に課題が大きいのがコーナーポジションで、頓宮選手と宗選手が一軍定着後ワーストクラスの成績を残してしまったのは大きな誤算でした。ファーストはセデーニョ選手、サードは西野選手が穴を埋める活躍を見せたものの、まだチーム内で絶対的なポジションを確立するには至っていない印象です。加えてセデーニョ選手はまだ若いものの外国人選手で、西野選手も本来は複数ポジションを守ることに強みのあるベテランであることから、今後5年間のコアプレイヤーとしてはやや計算しにくい存在です。
また、二軍で育成中の選手に目を向けても、コーナーポジションを担う打力を持った選手が不足気味の印象です。高卒2年目の内藤選手や育成1年目の河野選手などの伸びしろには期待できるものの、彼らだけでは少し物足りない気がします。
したがって、近未来のコーナーポジションを担う打撃力を秘めており、かつ即戦力性も高そうな内野手についても、優先度を高く設定して指名すべきでしょう。他のポジションとの指名リソースの兼ね合いにはなるでしょうが、それでも最低1名は確保しておきたいところです。
最後に捕手について触れさせていただきます。
ここは実力派と若手プロスペクトがバランスよくいるものの、単純に頭数が不足している印象です。頓宮選手は事実上内野手として起用されているので除くと、支配下選手に捕手が5名しかいない状況です。したがって今ドラフトで支配下で1名は捕手を獲得すべきでしょう。
獲得する捕手について、高校生を狙うべきか大学生社会人を狙うべきかは難しいところですが、ここは福永選手や石川選手の現在地をどう捉えるかによるでしょう。この2名が一軍控え捕手としてベンチに置くのに十分な実力があると球団が考えていれば、ドラフトでは将来性重視で指名すべきでしょうし、逆にこの2名の実力に物足りなさを感じているのであれば、即戦力に近い捕手を狙うべきでしょう。
ここは筆者では結論を出せなかったので、下記の指名パターンでは、1つは即戦力系捕手、もう1つは高校生捕手をチョイスしています。
ということで、ここまで述べたことをまとめます。
現状のバファローズ野手陣容を鑑みたとき、今年のドラフトで狙うべき選手は以下の通りです。
【野手指名方針のまとめ】
- 攻撃力不足を早期に解決する可能性の高い即戦力候補外野手(1名)
- 一三塁を担うのに十分な打撃力を持つ即戦力候補内野手(1名)
- 頭数不足を補う上で十分な実力を持つ捕手(1名)
3.ドラフト指名案
ここまで現状のバファローズの現有戦力における課題を述べてきました。まとめると、投打ともにある程度指名枠を割くべき状況にあるものの、最大の課題はやはり攻撃力にあると考えます。特に外野と一三塁のコア候補の少なさは12球団の中でも大きな課題であり、今ドラフトでも力を注ぎたいポイントになっています。
そこで、指名案の1つ目として、今ドラフトではトップクラスの打撃力を誇っており、かつ内外野の両方を守れる大商大渡部選手を軸とした指名パターン(以下、「渡部選手指名パターン」)を作成しました。どちらかというと即戦力に近い選手を優先して指名した形となっており、現有課題を早期に解決することを強く意識しています。
また、近年のバファローズの傾向に沿って、将来性豊かな高校生投手を中心に指名するパターンもあり得るのではないかと考えました。そこで、逸材揃う今年の高校生投手でもナンバーワン右腕の呼び声高い、報徳学園今朝丸投手を軸とした指名パターン(以下、「今朝丸投手指名パターン」)を2つ目の指名案として作成しました。昨年に引き続き上位で左右の高校生投手を獲得し、下位を中心に現有戦力の補強ポイントを補うことを意識しています。
なお、指名人数については、補強ポイントが多いことと、例年比較的多めの人数を指名することを加味し、支配下7名想定とさせていただきます。
【渡部選手指名パターン】
- 1位:渡部聖弥選手(大阪商業大学)
- 2位:佐藤柳之介投手(富士大学)
- 3位:石伊雄太選手(日本生命)
- 4位:川勝空人投手(生光学園高)
- 5位:木下里都投手(KMGホールディングス)
- 6位:齊藤大輝選手(東芝)
- 7位:藤原佑選手(大社高)
- 1位の渡部選手は、広角に長打を放てる完成度の高い打撃と、50m6.0秒の俊足と遠投110mの強肩を兼ね備える、今ドラフト最強クラスの外野手です。今ドラフトでは最速の打球速度を計測しており、逆方向にも引っ張ったかのような強烈な打球を放ちます。三塁をはじめとした内野のポジションでも実戦経験を積んでいる点も評価ポイントでしょう。
- 2位の佐藤投手は、最速148km/hのストレートとスライダーをはじめとする多彩な変化球で支配的なピッチングをする即戦力候補の左腕です。特に直球は縦回転成分が強く、球速こそ目立たないものの多くの打者がボールの下を空振ってしまいます。全国大会でも良好な成績を残し続けており、大学生左腕では金丸投手に次ぐ存在と言っていいでしょう。
- 3位の石伊選手は、二塁到達最速1.8秒台の強さと正確さを併せ持つスローイングを武器にする、今ドラフトトップクラスの守備力を誇る社会人キャッチャーです。バッティングについても広角に安打を放てるなどキャッチャーとしての弱点が少ない印象で、多くのプロスカウトが上位候補としてマークしているとの記事を見かけます。
- 4位の川勝投手は、最速153km/hと鋭く落ちる変化球を武器に三振の山を築く、高校生屈指の出力を誇る剛腕投手です。制球に課題こそありますが、好調時の投球内容は上位候補に全く見劣りしません。今春は肘の故障に見舞われたことなどを含め、全国大会での実績には乏しく、逆に好素材を中下位で確保するチャンスと言えるでしょう。
- 5位の木下投手は、最速156km/hの少し変化するストレートを最大の武器とする、社会人屈指の剛腕投手です。チームでは先発も務めており、要所でギアを一段上げる投球もできるなど起用法の幅が大きい点も魅力的です。ギアを上げた際のストレートの出力とコントロールを安定して両立できれば、プロでも剛腕投手として鳴らすことができるでしょう。
- 6位の齊藤選手は、走攻守の三拍子と内野複数ポジションを守れる利便性を併せ持つ、社会人屈指の能力を備えた内野手です。大学時代はドラフトイヤーに打撃不振に陥ったこともあり指名を逃しましたが、社会人野球で本来の実力を発揮しつつあります。中日の福永裕基選手のような活躍を期待できる即戦力候補です。
- 7位の藤原選手は、今年の夏の甲子園でも強烈なインパクトを残した、大社高校躍進の象徴である俊足の外野手です。セーフティバント時の一塁到達タイム3.7秒、甲子園でも4試合で4盗塁と、足を使った攻撃をさせれば世代でも最高クラスの選手です。まだまだ非力な面は否めませんが、そこはレベルの高いプロの環境で鍛える余地が多いと見るべきでしょう。
【今朝丸投手指名パターン】
- 1位:今朝丸裕喜投手(報徳学園高)
- 2位:佐々木泰選手(青山学院大学)
- 3位:高橋幸佑投手(北照高)
- 4位:椎木卿五選手(横浜高)
- 5位:荘司宏太投手(セガサミー)
- 6位:林冠臣選手(日本経済大学)
- 7位:中﨑響生投手(明治安田生命)
- 1位の今朝丸投手は、身長188cmの高身長から、最速151km/hの直球をはじめとする多様な球種を投げ下ろす、高校生ナンバーワン右腕です。スケール感に加え現時点での完成度も高く、変化球も含め制球が良いため自滅する場面もめったにない好投手です。全国レベルでの実績も豊富で、昨年の前田悠伍投手と並ぶ実力の逸材と見ています。
- 2位の佐々木選手は、大学1年生から有力投手相手に本塁打を量産し続ける、同期の西川選手と並ぶ今ドラフト最高クラスの長距離砲です。その打撃は豪快そのもので、少しでもボールが甘く入れば簡単にレフトスタンドへ叩き込みます。打撃面では好不調の波が激しいのが玉にキズですが、元SB松田選手にたとえられる身体能力の高さもあり、総合力の高さが光ります。
- 3位の高橋投手は、がっしりした体格から最速148km/hの重い直球を投げ込む、今ドラフト屈指の高校生左腕です。クロスステップする分直球に独特の角度がついている点も、打ちにくさを増長させています。雰囲気としては同校OBの齋藤綱紀投手を彷彿とさせるうえ、18歳時点のポテンシャルは高橋投手の方が上のように感じます。
- 4位の椎木選手は、鋭いスイングで長打を量産できる、今ドラフトでは最も打撃面に優れた高校生キャッチャーです。特に今夏の東海大相模戦では、高校生No.1左腕の藤田琉生投手からホームランを打つなど躍動し、サイクルヒットを達成したことは特大のインパクトを与えました。肩についても二塁到達1.9秒程度となかなかの強さを誇っています。
- 5位の荘司投手は、最速150km/hのストレートとブレーキのかかったチェンジアップの二球種を軸に奪三振を量産する、左の即戦力中継ぎ候補の投手です。縦に思い切り腕を振る特徴的なオーバースローは、直球と変化球の見分けをより難しくさせているように見えます。今のオリックスにはいない左の力投派中継ぎであり、投手陣のバリエーションを増やすのにうってつけでしょう。
- 6位の林選手は、193cmの大きな体からパワフルな打球を量産する、スラッガー候補の大学生外野手です。特に今春のリーグ戦では12試合で4本塁打と当たっており、渡部選手西川選手に次ぐ右の大砲系外野手として注目を集める存在です。加えて強肩も魅力の一つで、攻守ともに溢れんばかりのパワーを感じさせる選手です。
- 7位の中﨑投手は、タメの大きなフォームから最速153km/hのストレートを軸に相手打者を押し込む、大卒4年目の社会人右腕です。奪三振率などの指標がずば抜けているわけではありませんが、とにかくレベルの高い社会人野球で滅多に失点しない所がポイントです。基本的には抑えとして投げることが多く、リリーフ系の即戦力としてはうってつけの存在ではないでしょうか。
どちらの指名もチーム課題を解決する意図が感じられることに加え、バファローズらしさもある内容となったのではないでしょうか。
ということで、今回の記事は以上です。
ここまでお付き合いくださり誠にありがとうございました。
次回は2024年千葉ロッテマリーンズのドラフト戦略について記事にする予定です。