0.まえがき
みなさんこんにちは。ベイダーたかはしと申します。
昨年のファーム日本選手権で現地だったこともあり、個人的にはフォード選手をもう一度見たいです。フォード選手&宮崎敏郎選手で一三塁を守ると、ちょっとセーフティバントのリスクが高すぎる感じもしますが・・・。
さて、前回までは各球団の2025ドラフト妄想記事を書かせていただいていましたが、今回だけはちょっとテーマを変えて、贔屓の横浜DeNAベイスターズについて思うところを書かせていただきたいと思います。6/29(日)現在、チームが思うように勝てておらず、しかもその原因が貧打ときたものですから、ファンのストレスもひとしおです。その点も関連させながら、今現在筆者がベイスターズフロント陣に思うこと(主に不満)を書いていきたいと思います。
なお、本記事に記載している事柄は、基本的に素人の推測に過ぎない感覚的な内容がほとんどです。また、なるべく丁寧な言葉を使うようにしますが、その性質上ネガティブな内容も大いに含まれますので、不快に感じられる方はブラウザバックすることを推奨いたします。
- 0.まえがき
- 1.大前提:DeNAフロント陣の功績は非常に大きい
- 2.データ重視の野球はフロント主導によるものである
- 3.2025年シーズン貧打の原因は?
- 4.「机上の空論」になる危険性
- 5.監督批判だけが本質ではない
1.大前提:DeNAフロント陣の功績は非常に大きい
第2項以降でネガティブな内容の記載が増えてきますので、最初に「DeNAフロント陣に対し、筆者は基本的に好印象を持っている」という大前提の立場を表明させてください。DeNA政権に移行してからは選手の意識改革にはじまり、インターネット配信の増加や各種イベントの積極実施による顧客層の拡大、ハマスタを軸とする街づくりの推進など、現代的かつ戦略的な施策をたくさん実行していく姿を我々ファンに見せてくれています。そのおかげで、もはやTBS時代末期とは比較するのはおこがましいほどの「まっとうな」球団となりました。約10年前まではベイスターズを応援していると言えば周囲にバカにされることも多くありましたが、今やそういう機会もめっきり減りました。
ベイスターズが「現代的」なのは、いわゆるグラウンド外の経営戦略にとどまりません。グラウンド内の野球戦術においても、「現代的」な施策が多く見られます。特に近年顕著なのは、データアナリスト職を経験したうえでコーチ職に転身するスタッフが多いことでしょう。現職のコーチ陣では、靍岡賢二郎コーチ、大原慎司コーチ、中井大介コーチらがそういった経歴に該当します。こうした人事からも、「ベイスターズはデータ重視」というイメージがついているのでしょう。
その「データ重視」の方針の成果として、多くのプロ野球ファンにはおなじみかと思いますが、「2番に強打者起用」「犠牲バントの制限」といった戦術がチームカラーとなってきています。セイバーメトリクス的な考え方に基づけばこれらの戦術は当たり前かもしれませんが、いまだにNPBでは「伝統的な日本野球」的な戦術を重視するチームも少なくありません。少なくともベイスターズは、12球団の中でもセイバーメトリクス的な考え方を多く取り入れている部類に入ることは間違いないでしょう。
2.データ重視の野球はフロント主導によるものである
以上のように、近年のベイスターズ野球における特徴はデータに裏打ちされたものであると言えますが、そのデータ重視の野球は誰が主導して行ったものでしょうか。
その答えは、萩原龍大統括本部長をはじめとするフロント陣であると筆者は考えます。もう少し具体化すると、データ重視野球という大方針のもと、フロント陣がアナリスト経験者である靍岡コーチらを要職に据えてグラウンド上の作戦を練らせているということになるでしょう。少なくとも三浦大輔監督が主導しているわけではないことは、お読みいただいているもみなさんも同意見かと思います。三浦監督はあくまで承認(or合意)する立場に過ぎないというのが筆者の持論です。
上記の仮定を正として考えると、次のような推論が浮かび上がります。それは、「三浦監督の裁量権は実質的にあまり強くないのではないか」ということです。
いったいお前は何を言っているんだ、と思いの方もいらっしゃるかもしれません。たしかに一軍監督は野球チームにおける意思決定者であり、コーチや選手からの意見を承認することも拒否することもできる立場の人間のはずです。
しかし、一軍監督もまた、フロント陣に任命/解雇される立場であることも事実です。フロント陣の期待した役割を果たしたかどうかによってその進退が決定される、非常に脆い立場にいる人間でもあります。その進退は、チーム成績の良し悪しだけでなく、フロント陣の期待するチーム作りをしたかどうかも重要な要素として判断されるでしょう。
この一軍監督の立場の脆さ自体は12球団共通のものです。しかし、ここにベイスターズ特有の特徴である「参謀役(≒旧来の現場スタッフナンバー2)の人事がフロント主導のものである」という点が作用すると、監督の裁量範囲の小ささが見えてくるのでは、というのが筆者の持論です。
この持論に少しでも説得力を持たせるために、他球団との比較を行っていきたいと思います。ここで、参考として12球団の監督と参謀役を務めるコーチを以下に示します。(ヘッドコーチ不在のチームはベンチでの立ち位置が監督に最も近いコーチを記載)
- 横浜:三浦大輔監督/靍岡賢二郎コーチ or 大原慎司コーチ
- 巨人:阿部慎之助監督/二岡智宏コーチ
- 阪神:藤川球児監督/藤本敦士コーチ
- 広島:新井貴浩監督/藤井彰人コーチ
- ヤク:高津臣吾監督/嶋基宏コーチ
- 中日:井上一樹監督/?
- SB:小久保裕紀監督/奈良原浩コーチ
- ハム:新庄剛志監督/林孝哉コーチ
- 千葉:吉井理人監督/サブローコーチ
- 楽天:三木肇監督/?
- オリ:岸田護監督/水本勝巳コーチ
- 西武:西口文也監督/鳥越裕介コーチ
大変恐縮ですが、ドラゴンズとイーグルスについてはどのコーチが参謀格かはっきりとわかりませんでした・・・。とはいえ、残りの10球団で比較したときに、ベイスターズが明らかに異色の人事を行っていることは明らかです。
この話をもう少し深掘りすると、ベイスターズ以外の9球団について、「参謀役」は以下3つのどれかの属性を有していると見ることができます。
一方、ベイスターズの参謀役は上記の通り靏岡コーチと大原コーチが務めていますが、左のワンポイントとして数年間定着していた大原コーチはともかく、靏岡コーチについては明らかに上記3属性を一つも有していません。こうした点からも、靏岡コーチと大原コーチの起用がフロント陣の肝いり人事であることがひしひしと伝わってくると思います。ベイスターズに関しては、フロント陣の理想の野球を遂行する目的で、参謀役が設置されていると考えられます。
もちろん、この2人が優秀な人材であること自体は否定するつもりはありませんし、この2人を従来の慣習に囚われず抜擢したフロント陣の姿勢も個人的には好印象です。ただしここで言いたいのは、その良し悪しは脇に置くとして、三浦監督はフロント主導のデータ重視野球を半ば強制される環境に置かれているということです。監督としてはデータ重視の人間にある種挟まれている状態にあるわけですから、監督の独断で方針を捻じ曲げるのはかなり難しいと想像されます。加えて、8年もの間フロント側の要職についていた進藤達哉氏が今シーズンから「一軍ベンチコーチ」なる役職に転身したことも記載しておきます。
ここで話を少し脇道に逸らすと、そういったフロント主導のグラウンド戦術構築が必ずしも悪いとは思いません。たとえば現職の三浦監督に関しては、人格やカリスマ性において長けている一方で、特に攻撃面の戦術については強い哲学を持っているタイプではないように思います。したがって、そこをフロント陣が主導することによって互いの長所を掛け合わせていくチーム作りは適切な試みだというべきでしょう。
話を戻すと、繰り返しになりますが三浦監督はあくまでグラウンド上の戦略を承認(合意)する立場に近く、その戦術を実質的に主導しているのはフロント陣肝いりのコーチングスタッフである、というのが筆者の持論です。
3.2025年シーズン貧打の原因は?
ここからはさらに情報ソース激薄でお届けしますので、話半分に流していただければ幸いです。
さて、度々「強力打線」と言われがちなベイスターズ打線ですが、実際に打撃でアドバンテージを得ていた昨シーズンから一転して、冒頭でも述べた通り今シーズンは得点力不足に苦しむケースが目立ちます。
得点力不足に悩む最大の要因は、オースティン選手のコンディションが安定しないことにあるのは間違いありません。しかし、その他の選手を見ても、松尾選手、佐野選手、林選手を除くと、昨年比で打撃成績を低下させている選手ばかり目立ちます。
この打撃陣の成績低下に関連して、試合の観戦中にちょっと気になる発言を耳にしました。それは、「今シーズン、ベイスターズの打撃コーチは打球速度を上げることに注力しており、フォーム修正など技術面は口出ししない方針で指導している」ということです。当該発言は5月6日(火)にドラゴンズ側主催で行われた野球中継の実況が行ったものであることからその信憑性は怪しいかもしれませんが、Xで検索をかけると何人かがその発言に反応を示していることからも、少なくともそういう旨の発言があったことは間違いありません。
打球速度を上げること自体はヒットや長打の確率を上げることに直結し、そのことは日本でも浸透してきています。近年その点を重視する球団も増えてきている印象です。ただ、この実況を耳にした際、「技術面の指導はしないって本当に大丈夫?」と、個人的にはかなり不安が強くなってしまいました。
そしてつい先日ですが、上記の指導方針の信憑性を高めるような記事が各種スポーツ新聞社から出てきました。それが村田修一野手コーチの発言で、以下特に気になった部分を抜粋します。
「…昨年打てましたじゃない。もっとみんな考えてやらないと。僕も考えないといけないし、僕の意見ももっとガッツリ言うべきだとは思っているので」(下記の記事より抜粋)
上記の発言、特に赤字にした部分について、裏を返すと「今のところは僕の意見をあまり言っていない」ということになります。事実上一軍打撃コーチを務めている村田コーチが意見を言っていないということになると、では普段の練習は何をやっているんだということになります。そう考えていくと、前述した「打球速度だけを重視した指導方針」もあながち偽りではないように思えてしまいます。
この「打球速度だけを重視した指導方針」が真実だと仮定して、次に考えていきたいのは、一体誰がこのような方針を打ち出したのか、ということです。
まず、上記の発言をした村田コーチがこの方針の仕掛け人だとは思えません。むしろこの方針に違和感を隠しきれていないスタッフの筆頭格に思えます。また、田代富雄コーチや大村巌コーチなど、長年現場コーチとして指導にあたったスタッフが突然このような方針転換をするとも思えません。これは石井琢朗コーチや鈴木尚典コーチについても同様のことが言えます。そして、野手出身でもない三浦監督もこの指導方針の仕掛け人とは到底思えません。
では誰が仕掛け人なのかというと、これは個人的推測でしかないですが、データ重視のフロント陣によるものであるという答えが最もしっくりきます。打球速度重視のアプローチは、データに基づいた野球の高度化が進んでいるMLBから波及してきた考え方で、NPB目線でいえば比較的新しい考え方といえます。しかし、技術論には全く精通していないため詳しいメカニズムへの言及は避けます(というかできません)が、この極端な方針をフロント陣が打ち出した今シーズンは打撃成績が低下、その結果村田コーチらがこの方針に異議を表明し始めている、という現状は容易に想像がつきます。
理論があやふやな素人目線でも「打球速度だけ」という指導はかなりの違和感を覚えますが、それと同じくらい違和感を覚えるのは、「『横浜奪首』という大きなスローガンを立てた年に、そのような大幅かつ実験的な指導方針転換を行った」という点です。理屈の上ではある程度根拠のある指導方針だったかもしれませんが、その指導を脳や身体に落とし込まなければならないのは選手です。昨年時点ではある程度結果もでていたわけですし、選手の混乱などを考慮しながら、もう少しゆっくり変えていくことはできなかったのかなと思ってしまいます。
4.「机上の空論」になる危険性
繰り返しになりますが、今のベイスターズがデータ重視のチームカラーであることは間違いなく、その大方針は今後も継続してもらいたいと思っています。しかし、その方針を推し進めるがゆえに、ある種科学的根拠を過信したメソッドを選手育成の現場に持ち込んでしまっている危うさも、今のベイスターズからは感じざるを得ません。その典型例が、前項の「打球速度」の向上を過信した指導方針だと思っています。
打撃指導以外にも少し目を向けると、ここ数年のベイスターズはドラフトで「指先の器用な、まとまった即戦力候補投手」を好んで獲得する傾向があります。これも個人的推測でしかありませんが、「球速を上げるメソッドは確立されているから、球速さえ伸ばせば完成しそうな投手を獲得するのが望ましい」という考え方に基づいているように見えます。実際、球速を上げることは近年の科学的投球理論ではいっそう重視されていることから、上記の考え方は何も間違ってはいないでしょう。
しかし、現状のベイスターズからは、この球速向上メソッドへの過信を感じざるを得ません。どうしても他球団と比較すると、まとまった投手(徳山壮磨投手、三浦銀二投手、吉野光樹投手、石田裕太郎投手、竹田祐投手など)の獲得を優先しすぎているような気がします。彼らの現状に対する個々の言及は避けますが、全体的に見るとこの方針が必ずしも思うような成果を上げていないのが現状です。そして当然ですが、ドラフト指名選手を選定する役割を担うのも、これまたフロント陣です。
このように、「打球速度」に加え、「球速向上メソッド」といった科学的根拠に基づく哲学をフロント主導で現場に持ち込んだはいいものの、その成果が今のところ出ていない、というのが現状のベイスターズです。このうち球速向上のメソッドについては、入来コーチなどプロレベルで理論を指導に落とし込めるコーチが現場に何人かいる印象ですが、打球速度に関しては現状その数字をプロレベルの指導に落とし込めるコーチが少ないように感じてしまいます。だからこそ打撃陣の成績低下が起こってしまい、前項で引用した村田コーチの発言で見え隠れするチーム内の軋轢も生じるのだと思ってしまいます。
結局いくら理論が素晴らしかろうと、その理論を実践するのは選手であり、現場のコーチであるわけです。数字上は正しかろうと、個々の選手に理論が合うかどうかは全くの別問題です。今のベイスターズフロント陣は、その点を軽視して選手指導の面でも理論を現場に押し付けてしまっているのかもしれません。仮にそうであるなら、科学的な理論も「机上の空論」になり果ててしまうでしょう。大事なのは、現場のコーチ同士で育成プランを緻密に共有しながら、選手をよく観察しながら個々に合った指導をしていくことに違いありません。
5.監督批判だけが本質ではない
最後に、SNS等で見られるファンのコメントについても少し気になったことがあったので言及します。
ここ数週間は特に貧打ゆえに負けが込んでおり、筆者も含め多くのファンがストレスを抱え込んでおり、その感情を(侮辱罪等にあたらない程度に)SNSにぶつけることはある種仕方のないことではあります。ただ、最近よく見られるコメントとして、次のような内容のものがあります。
「野手が打たないのは新任の村田コーチの指導が合っていないせいで、その村田コーチを使っている三浦監督に最も大きな責任がある!」
ここまで根気強くお読みいただいている方なら察してくださると思いますが、筆者はこの意見が必ずしも的を射ているとは思いません。改めてその理由を端的に述べると、現状のベイスターズはフロント主導の方針によるものが大きく、三浦監督の裁量権は実質的に小さいと考えているからです。
あまりこの仮定の話はしたくありませんが、上記の意見がダイレクトに首脳陣に通ったとします。しかし、万が一三浦監督がこの貧打に責任を感じて一時休養したとしても、万が一村田コーチの配置が転換されたとしても、それだけで状況が変わるとは思えません。現状のベイスターズはフロント陣が他球団以上に大きな影響力を行使している以上、フロント陣から方針を見直してもらうことが必須です。少なくとも現場での選手指導に関しては、フロント陣の独断専行で改革を進めるのではなく、ゆっくりした変化でもいいので一番近くで見ているコーチングスタッフ全員も十二分に納得した方針で推し進めるべきです。でなければ、その下で指導を受ける選手たちも混乱してしまいます。
以上、個人的な推論だらけで恐縮ですが、どうしても本テーマについて自分の考えをまとめたくなり、記事を作成しました。
次回こそは2025年ドラフト妄想シリーズに戻って、広島東洋カープのドラフト妄想記事を書かせていただこうと思います。
それでは、このような駄文に最後までお付き合いくださり、誠にありがとうございました。